ACT3.5[ポケットのなかに] 01

GM:では始めようか。

ヴァイス=エルミュンゼン了解。

GM:時にテーレ1141――第三部の5年後だね。

ヴァイス:歴史を感じるなぁ……。

GM:神々の戦いが終結してからは15年。つまり第二部からは15年が経っている。いろいろ被害が出ていた世界各地がやっと復興してきて、安定したかなぁ〜って頃だ。

ヴァイス:ふむふむ。

GM:そんな中での、オーレオリン帝国首都カーディナル。君にとっては、バーミリオン魔術師団の詰め所があるところである。

ヴァイス:そうだね。

GM:んで、ヴァイスはアーケインから出張というか、定期連絡に来ている。

ヴァイス:「……以上が今回の報告です。詳細はこちらの資料にまとめてあります」
 

 ヴァイスの上司である魔術師団団長サフト=アンシェンは、書類から顔を上げ、微笑んだ。
 

サフト:「ご苦労様です。――アーケインもそろそろ収穫祭の時期ですね」

ヴァイス:「はい、いつもにぎやかですが、最近はとみに活気があるように見受けられます。……ただ、収穫期、というのは往々にして警戒せねばならない時期ですが……」

サフト:「言うようになりましたね、ヴァイス。……確かに、最近よくない話も聞きます。世の中がやっと平穏を取り戻してきたというのに……いや、だからこそ、今まで闇に潜んでいたものたちが動き出したようで……」

ヴァイス:「力を回復していたのは、なにも我々だけではない、ということですね……仕方のないことですが……」

サフト:「それにしても、今回のはタチが悪い」

ヴァイス:「と、言いますと?」

サフト:「この帝都、赤髪の皇族のお膝元で……殺しを行う輩がいるのです――皇族と同じ、赤髪の殺人鬼の話……聞いたことはありませんか?」

ヴァイス:「(眉をひそめて)いえ、アーケインにいるせいか、世情には少々疎くて……。しかし、道理で街が妙にざわついているような感じだったわけですね。皇族と同じ赤髪、というのがことに性質が悪い……」

サフト:「全くですよ。我々は<紅>あるいは<スカーレット>と呼んでますが……とても大声で言えたものじゃない。フェールドット陛下も心を痛めています」

ヴァイス:「陛下の心中、察してあまりあります……。対策は……もちろん、講じているのですよね?」

サフト:「騎士団と連携して警護は増やしてますが……いかんせん男か女かも不明ですから」

ヴァイス:「ということは目撃者もなし、ですか……やっかいな……」

サフト:「目撃者はいるにはいますが……赤い長髪だったらしくってねぇ」

ヴァイス:「……長髪だからといって、女性とは限りませんし……さすがに、しかと顔を見るわけにもいかなかったのでしょうしね……」

サフト:「顔を見た次の瞬間には、もう天国の門の前でしょうよ」

ヴァイス:「でしょうね……まったく、ぞっとしない話です。……団長は、その殺人鬼の出現と、闇のものたちの活性化につながりがある、と?」

サフト:「確証はありません。ただ……平和は長く続かないものだなぁ、って。――話が長くなってしまいましたね。これから帰るあなたを不安にさせるつもりはなかったのですが……。やはり、警戒はしていてもらわないとね――自警団としては」

ヴァイス:「そう、ですね……。事実、わずかながら、トラブルの発生件数も増加傾向にありますし……」

サフト:「アナタがらみで?(笑)」

ヴァイス:「……それは言わないでください……(遠い目)」

サフト:「ふふふ。――えーっと、グラウに頼んでお土産をいろいろ見繕ってもらったんですが……持って帰れます?」

ヴァイス:「色々、ですか……量によりますが……」(大八車いっぱいとか言わないよね……?(冷や汗))

GM:馬車に積むには少ないが、持って歩くにはつらいという微妙な量だ。

サフト:「ヴァイスはここまでどうやって来たんです?」

ヴァイス:徒歩になるの? それとも、馬に乗ってかな?

GM:馬でないと、ちょっとつらいぞ。

ヴァイス:了解。じゃあ、馬に乗ってきた、ってことで……馬に載せたらなんとかなりそう? 帰りが遅れるのは仕方ないとして。

GM:何とかなるでしょう。

ヴァイス:「……ま、まあ、馬に乗ってきましたから……それにくくりつけて運べば、なんとかなる、と思います……多分、きっと、そう願います」

サフト:「ナマモノとかあるらしいですから、早く帰るんですよ」

ヴァイス:「あの……お土産にナマモノって……(汗)」

サフト:「果物ですよ。……たぶん」

ヴァイス:「たぶん、ですか。……うにうに動く果物とかじゃないですよね……?」

サフト:「………………。――じゃ、気をつけて帰るのですよ。ではでは〜!」(逃げるように去る)

ヴァイス:「ああ?!! 団長っ!! ……く、いっつもそうだ、なにかやっかいごとがあるとああやって……っていうか、なんでこう、定期連絡の度に恐怖感を感じるお土産をおしつけられるんだ……(涙)。かといって、お断りするわけにもいかない、よなあ……(涙)」

GM:じゃ、元気だして帰ろうか。

ヴァイス:ということで、泣く泣く、『お土産』を馬にくくりつけて帰路につきます。



GM:ではでは。途中なぜか暴れ出すお土産箱を押さえながら(笑)、ヴァイスはアーケインへと続く森へと足を踏み入れた。

ヴァイス:「………(涙涙)。頼むから、着くまではおとなしくしててよ……」

GM:そしてACT1.0でおなじみの『門』まで来た。

ヴァイス:はいはい。え〜っと、普段は閉じられてんだっけ?

GM:普段から開いてはいる。で、入ってすぐのところに自警団の砦があるのだ。

ヴァイス:あ、了解了解。それじゃ、門をくぐって……砦に直行。自警団のメンバーに、挨拶もそこそこに土産の運搬を手伝ってもらおう。

GM:へえ?

ヴァイス:(ばーんと扉を開けて)「帰った。いつものがある。運んで」

GM:そーすると、いきなり喉元に剣をつきつけられるぞ。ごっつい男だ。君の知らない顔だね。

ヴァイス:「げ。(抵抗の意思がないことを示すために両手を挙げて)え〜っと……どちらさま……?」



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