息苦しさを感じ、エノクは目を覚ました。
何か柔らかいものが、顔の上に乗っている。
なんだ、これ……?
シャナス:「それは妹の、尻だ。尻、おしり、臀部。品のない言い方で、ケツとも言うな」
ルーベル:「ケツとか言うなッッ!」
ぐぁばッッと、ものすごい勢いでルーベルが起き上がった。
シャナス:「お、気がついたか。心配したわよ」
ルーベル:「……ホントかなァ。ふつう、妹をこんな苦しい体勢でほっとく?」
シャナス:「いや、エノクが喜ぶと思ってな」
ルーベル:「……をいをい……」
エノク:「ごちそうさまでした」
ルーベル:「ごちそうさまとか言うなァ〜!」
暴れる、ルーベル。
シャナス:「別に減るものでもないのになァ」
エノク:「いやいや、長生きはするものですね」
二人の言葉に、ルーベルの目がどんどん吊り上がっていく。
エノク:「話題を変えた方がよさそうですね。……どこなんです、ここ」
いや、その前に……
エノク:「我々、どうしてたすかったんです?」
シャナス:「うん、おそらく……」
ルーベル:「これ、よ」
そう言ってルーベルが取り出したのは……
エノク:「スーパーボール?」
よくはねる、ゴムでできた小さなボールだ。
ルーベル:「これに3人を『封印』したの。時間制限付きで」
エノク:「なるほど、それならどんな衝撃にも耐えられる。……ということはここは、墜落したアールマティのどこかですか?」
シャナス:「いや、もっと下のようだ」
ガレキの山を調べていたシャナスが、何かを拾い上げた。
シャナス:「ここはアールマティの下にあった巨大クレーター……『メルカバー』の発掘現場跡だな。スーパーボールがはねてとんでもないところに転がったようね」
エノク:「あ、こっちに通路がありますよ」
ルーベル:「なーんか楽しそう。いってみる?」
シャナス:「……聞けよ」
『メルカバー』の眠っていた場所。そこには……あらゆる秘密が眠っている。
エスペルプレーナ2 ブリッジ──
ヒイラギ:「あ、見てください!」
サリース:「ん? どうしたの?」
ヒイラギ:「『メルカバー』の下の方! 何か黒いものが……」
カリストパラス:『小さいですが……強いエネルギーを感じます』
サリース:「落ちていく……」
『ソフィア』は……ニャルラトホテプに吸い込まれるように落ちていった……
ヒイラギ:「何だったんでしょうね……」
サリース:「さあ……?」
カリストパラス:『本艦に接近してくる船があります。エスペルプレーナ1の同型艦です』
サリースは、サブモニターに目を移した。確かに、色違いのエスペルプレーナが近づいてきている。
サリース:「あれってひょっとして……」
GM:アルバスと『ソフィア』の分離には成功した。が、ニーヴェは浮かない顔をしている。
リューセ:どうしたの?
ニーヴェ:「『ソフィア』はまだ、生きています。……何とかしなければなりません」
リューセ:あのままだと、何するか分かんないしね。
オードー:決着つけるのに依存はねえけど、今はちょっと休みてェだ。
GM:『メルカバー』はどうしよう?
シェオール:確かに、このまま放っておくわけにはいかんな。
オードー:でも、もうゲオルグも『ソフィア』もいねえから、この『船』でバカなことやろうってヤツはいないだよ。
ガンバ:いるだわさ、ここに。──さあ、エスペル2を捨てて、今度は『メルカバー』に乗るだわさ!
シェオール:やめろ(笑)。……どこか遠くに捨ててきた方がいいだろう。
マフィ:さっきのアールマティ墜落現場に戻って、そこに落としたら?
GM:トドメ刺してどーする。
マフィ:アールマティって、もう誰も住んでないんじゃないの?
リューセ:アルバスのお姉さんや先生がいるでしょ……。
オードー:をを、すっかり忘れていただ。
シェオール:何か機能停止する方法が分かればいいんだが。
ゴーヴァ:機能停止〜!(ビームアックスを振り下ろすマネ)
シェオール:そうだ、前にハッキングしたことがあったな。
GM:ぬ、それはリルルに血を吐かせながらもう一回やらせるということだな?
シェオール:違う違う、それをヒイラギやカリストパラスにできないかってことだ。
GM:……できるかな。じゃ、『メルカバー』は永久凍結ということでいいんだね?
一同:おう。
GM:(あ〜あ、これで随分と『減った』な……)──では永久凍結するよ。