MOND REPLAYV


chapter15

[sometime somewhere]

ヴィゾフニル編:1

TIMELESS

どこかにあったはずの『あのとき』
どこかにあったはずの『あの場所』

エノク:「なるほど……」

リルル:「これで、あたしが知ってることは全部話したと思いますけど……?」

エノク:「あなたのこと以外はね」

リルル:「………………」

エノク:「ちょっとまとめてみますね。
 

 アルバス君は──伝説の封印士フレイヴス=ファルバティスの息子で、今、家から勘当状態、と。

 周囲の人間で、彼がファルバティス家の者だと知る人は、案外少ない。

 瞬間移動能力を持つが、自分ではコントロールできない。

 おしりの右に、六芒星のアザがある。

 大司祭様の調べによると、何らかの『封印魔法』がかけられている。

 これは父親による『記憶封印』だと考えるのが妥当だが、まだそうだと決めつけることもできない……。

 リューセ君は──記憶喪失である。

 手紙の主、タナトスに会った。が、正体は不明のまま。

 イルカのペンダントは、イルカと交信する力を持ち、また、自らを水のヴェールで覆うこともできる。

 腕輪指輪の正体はまだ不明。

 アルバス君と同じアザを左胸に持つ。アザは最近さらに広がった。

 そして──今の彼女は『精神体』である……と。
 

 ゼナ君は──ゲオルグ=オーケンシールドの息子である。

 彼の父は、魔法アカデミーの理事長であり、ことわざ教の幹部であり、『アポリオンの亡霊』の一員でもある。

 彼そっくりの少女、ゼナツー……。彼女は彼を『F−3』と呼んだ……。
 

 サリース君は──元娼婦で元盗賊。

 娼婦時代の事件がもとで、子供を産めない体である。

 彼女にも何らかの『封印魔法』がかけられている。

 トールでの巨人事件と何か関係があるのか……。
 

 ユンケちゃんとガンバ君は──まあいいでしょう。

 クックルックルーフはまだまだ謎の多い種族ですが、深追いは危険な気がするんですよね……。
 

 それから私は直接会ったことはないですが、コイジィ・ニールの特殊調査課『アイオーン』……。

 北の大陸の少女トパーズと、剣化する女性マフィ

 冷徹な剣士シェオールに、巨大ロボットのゴーヴァ

 クックルックルーフのビッケに、謎の生物カー

 こちらにもまだまだ秘密がありそうですよね。

 ヒュプノスがトパーズさんに言ったという言葉──『メファシエル』も気になります。
 

 で、そのヒュプノスですが……彼があなたと接触したのは2回……。

 狙いはあなたを──『ヒーメル』を殺すことと考えてまず間違いない……。
 

 タナトス──リューセ君への手紙の主であり、『クーア』を渡した男……。

 今のところ、味方っぽいですね。
 

 そして……あなたたちの当面の敵となるであろう、ゲオルグ。

 『クーア』を、つまりは『大いなる遺産』を狙う男……。

 今『クーア』はアルバス君たちが4つ、ゲオルグが2つ持っている。

 残りは4つ……。

 街が『セフィロトの樹』に対応し、『クーア』もまたそれに対応していることを考えると、イシュタルにひとつあるはずなんですけどねェ……。
 

 そしてリルル──あなたです。

 エスペルプレーナのクルーから『姫』と呼ばれ、古の文明を築いた『ヒーメル』の力を持つ少女……。

 あなたは私たちが知らない何かを知っているし、まだ自分のこと全てを語ってくれてもいない……」

リルル:「………………」

エノク:「とりあえず分かることは、こんなところでしょうか」

リルル:「あたしは……」

エノク:「はい?」

リルル:「あたしだって、全てを知ってるわけじゃない……。全てを覚えているわけじゃない……。点と点を知っていても、まだ線がみつからない……」

エノク:「そうですか……。じゃあ、いつか分かったら話してください。私に。そしてみんなに。

──私は……いつも思うんですよ。この世に理由もなく存在するものはない。人も、物も、思いも、全てに『そこにある理由』がある、ってね。……点と点と結ぶ線は、案外単純なものかもしれませんよ。

さ、そろそろ休みま────今、悲鳴が聞こえませんでしたか?」

リルル:「この声……ゼナ君?」

ゼナ:う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!

GM:というところで終わったんだったね、前回は。

サリース:プレイヤー的にもキャラクター的にも何が何だかってかんじ。

リューセ:私たちは今、どこにいるんだっけ?

GM:まだ聖都ヴェルザンディにいる。夜のエスペルプレーナ。

リューセ:悲鳴が聞こえたなら、行ってみよう。なにかたいへんそぉー。いーそーがーなーいーとー……。

サリース:全然急いでいるように見えないんだけど。

ガンバ:わたいもいくだわさ。

サリース:あれ? ユンケは?

ガンバ:ん? どこかに消えただわさ。

GM:リルルとエノク先生も甲板に向かうよ。

アルバス:オレ、寝返りをうつ。

一同:寝てんなーーー!!!(笑)

ゼナ:ボク、ピンチなのに……。

GM:では甲板に着いた人。ゼナツーが倒れてて、ゼナが呆然と立ち尽くしている。背中に翼はもうない。で、足元には右手が転がっている……という状態。

ゼナ:のろのろ左手で拾ったりしてみます、右手。

ガンバ:ボトリと落ちたんだっけ?

GM:うん。

ガンバ:石化したとかじゃなくて?

GM:石化とかはしてない。ただ、切り口(?)が非常に滑らかで、断面には骨も肉もない。

ゼナ:均質なんだね。

ガンバ:カマボコみたいだわさ。

GM:せめて粘土とかって言ってよ。……のんきだなぁ。

サリース:普通正気保ってられないわよね。

リューセ:ゼナ……暴れてる?

GM:パニック状態だろうね。

ゼナ:「……ゼナツーが壊れて……翼……が……なんか……右手ぼとって……ぼとって……え……うあ……右手……」

GM:(みんな特に何もしないで見てるだけか……。なら……)エノクが上着を肩にかけながら

エノク:「大丈夫……。大丈夫ですから落ち着いてください……」

GM:落ち着くかどうか、マイナス20で判定してみて。

ゼナ:(コロコロ)07。クリティカルで成功。ふぅぅ……。――羽根はもう消えたの?

GM:うん。しゅるしゅると引っ込んだ。

リューセ:「ゼナ、落ち着いた?」

ゼナ:「は、はい……。なんとか……」

リューセ:じゃあ解決策を探さないといけないね。

GM:幸いここは聖都。神殿関係には事欠かないよ。

リューセ:夜中でも大丈夫かな?

アルバス:24時間営業のコンビニチャーチとかあるんじゃないか?

GM:愛想の悪いにいちゃんがバイトしてるとか?

リューセ:「とにかく行ってみようかアルバス…………ってアルバスは?」

サリース:「いないわよ」

アルバス:寝てる。

オードー:誰も起こしにいこうとは思わないだか? ……思わないみたいだべな。

GM:ゼナツーはどうする?

オードー:おらが医務室さ連れていくだ。

GM:了解。――では、どこの神殿にいくのかな?

リューセ:近いところ!

サリース:アルバスのお母さんがいたところがいいんじゃない?

GM:『月の雫』のとこだね。あそこは襲撃を受けて結構ボロボロになってたりするんだけど。

オードー:あともうひとつぐらいあったべ?

GM:ウェンディがいた『天使の声』ですな。あと、ことわざ教と――

サリース:(聞き流して)『天使の声』には翼がある像がなかった?

GM:女神オファニエルの像、だね。

リューセ:オペリオの像とかあったらイヤだね。

サリース:確かにそれはすごくイヤだわ。

ガンバ:でも十字架に貼りつけたら、神様に見えないこともないだわさ。腰布1枚で、髭面。

サリース:それでもイヤなものはイヤ。



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