第拾話「凍る砂」

GM:君たちは今、船の上にいる。

ラズリ:船?  海にいるの?

GM:いや、砂の上だ。砂航船に乗って、いざ冒険の旅へ!  ──てことで今回は明るい話だからね。

ガルフ:明るいと言うより暗くない、だろ?

GM:そんなことないよ。今回はホントに軽い話だから。

ラズリ:大丈夫!  普通の話でも私たちの手にかかれば笑い話になるから。

クロヌシ:で、どういう経緯で船に乗ることになったんだ?

GM:それでは少し時間をさかのぼることにしよう。

オルディネール:「それではよろしく頼みます」

クロヌシ:「【火】の土地神と空中要塞を見つけてくればいいんだな?」

ティンベル:「どっちも簡単には見つかりそうにないんだけど(笑)」

ラズリ:「オルディさんの瞬間移動か何かでぱぱっと移動できないの?」

オルディネール:「残念ながら私は砂漠には行ったことがないんです。マダーまでは送りますから、そこからは何とかしてください」

ガルフ:何とかしましょう(笑)。(地図を見て)マダーから国境の橋を越えてビリジャンへ。ここまではいいな?

ラズリ:うん。問題ないんじゃない?

ティンベル:問題も何も橋を渡っただけだって(笑)。

ガルフ:で、後のことはビリジャンに着いてから考える。

一同:よし、それでいこう!(笑)

クロヌシ:ひじょーに俺たちらしいやり方だな。

フローラ:ま、何とかなるでしょ。

ガルフ:あ、それからオレ今、変身解いてるから。ふつーの弱い一般人でーす。ピンチになったら変身しまーす。

オルディネール:では、しっかりつかまってください。マダーまで『瞬間移動』します。
 


GM:さて、砂漠の入り口、ビリジャンの街に着いたよ。

ガルフ:どうやって砂漠を渡るかなぁ。

GM:フローラとクロヌシは知力で判定してみて。

フローラ:(コロコロ) 成功。

クロヌシ:(コロコロ) 失敗。

GM:君たちは砂漠で2年間ほど生活してきたから知ってるんだけど──砂漠の民ってのがいるんだよね。

フローラ:いたねえ、そんなのも。

GM:発掘をして生活しているザムーム族。砂航船で砂漠を行き来してるトレーガ族。
   その砂航船がこの街からも出ていることを思い出した。

ティンベル:で、誰にも言わないでそっと心の奥にしまっておく(笑)。

フローラ:それはとても魅力的な意見なんだが、そういうワケにもいかんだろ。みんなに伝えるぞ。

クロヌシ:……ちっ、忘れてたぜ。

ラズリ:それはいい手だね。さっそく交渉しにいこうよ。

フローラ:どこに行けばいいんだっけ?

GM:ビリジャンの街にはふたつの港がある。ひとつは普通の港。もうひとつは砂航船の港。後は言うまでもないでしょ?

ラズリ:砂航船の港にGOだね!

GM:(コロコロ)何事もなく港に着いたよ。クロヌシとフローラはもう一回知力で判定してみて。

フローラ:絶対成功するって。(コロコロ)ほら成功。

クロヌシ:で、俺が失敗するんだな? (コロコロ) おお!? クリティカルで成功してるぞ。

GM:じゃあ君たちふたりは懐かしい顔を見つけた。砂漠の民の男たちだ。
   トレーガ族のエクスとバード、ザムーム族のダガとダグの4人。

ティンベル:「奴隷家族」?

GM:「奴隷家族」じゃなくて「トレーガ族」!(笑)

フローラ:オレって分かんないだろうな、オカマやめたから。

GM:あ、そっか……。──じゃあ、クロヌシに気づいて声をかけてくる。

GM/エクス:「クロヌシじゃないか!  ひっさしぶりだなぁ……。──ん?  愛人のフローラはどうしたんだよ?」

一同:なにー!?

フローラ:「だぁれが愛人だぁー!」

エクス:「な、なんだぁこの男は!?」

フローラ:(さささっと化粧をする)

エクス:「──なんだ、フローラだったのか……。懐かしいなぁ、4、5年ぶりか?」

フローラ:「4、5年……?  ……ああ、そうか、そのぐらいになるわねえ──ってもうオカマじゃないんだからこんな喋り方しなくてもいいのよねぇ」

クロヌシ:「しかしお前ら老けたな」

エクス:「そうか? (後ろを向いて) おい、みんな来いよ。クロヌシとフローラがいるぜ」
 


GM/ダガ:「しかし突然姿を消したよな、お前たち。ガトーさんもいなくなるしよ」

エクス:「駆け落ちでもしたのか?」

クロヌシ:(無言でパンチ)

GM/バード:「噂になってましたもんね、ふたりとも」

ラズリ:「あ、やっぱり?(笑)」

GM/ダグ:「フローラさん、どうですか、子供、の、様子は」

フローラ:「こ……ども……?」

エクス:「駆け落ちして5年も経ってらぁ子供ぐらい──」

フローラ:「今日は魔法銃に何をセットしてたかなぁ──お、『死の幻影』があるぞ(笑)」

エクス:「冗談!  冗談だって!  クロヌシを好きだったのは3軒隣のマイトちゃんだったもんな」

クロヌシ:「なぬぅ!?」

ラズリ:「いたのね?  そういう人が」

ガルフ:「マイトちゃんじゃなくてマイト君だろ?」

フローラ:(深くうなずいて)「左様」

クロヌシ:「左様じゃない!(笑)」

バード:「えええ!?  そうだったんですか?」
 


クロヌシ:「ほう──ではあのことを喋ってもいいんだな?」

エクス:「ま、待て、あれは酒に酔った勢いで思わず……(笑)」

ダガ:(話題を変えて)「そういえば、居酒屋の看板娘のカイちゃんが3年前に結婚したぞ」

フローラ:「ほぉー、それはそれは」

ダガ:「あの子、フローラ (女だと思ってた) のことが好きだったらしいぜ」

フローラ:「ふっ、オレも罪な男だ……」

ラズリ:「なんかゆがんでる〜(笑)」

エクス:「あとな、フローラが勤めてたオカマバーのママがな、『身体も女になってきます』って置き手紙残して蒸発しちまったんだ」

ラズリ:「勤めてた?」

フローラ:「そんなことはしてなーい!」

ガルフ:「分かった!  通ってたんだ!」

フローラ:「それも違−う!」

ダガ:「違ったのか?  噂になってたぞ」

ラズリ:「フローラもクロヌシも一体どんな生活してたのよ……。ふう……」

フローラ:「信じるなぁ!  少なくともオレに関する話はデタラメだぁ!」

ラズリ:(疑いのまなざし)

ダグ:「──で、どうしたですか、ふたり」

クロヌシ:「そうそう、そうなんだ。こんな話をしてる場合じゃない」

フローラ:「その通り。──で、何しに来たんだっけ?」

一同:「こらこらこらぁ!(笑)」

クロヌシ:「かくかくしかじかじゃ駄目なのか?」

GM:どこまで本当のことを話すの?

フローラ:「えーと……実は忘れ物をしたんだ、ガトーさんの発掘現場に」

エクス:「で、5年も経って取りに来たのか?  こんなに大勢で?」

フローラ:(胸を張って)「ああそうだ」

クロヌシ:(ドスの効いた声で)「もちろん行ってくれるよな」

エクス:「そりゃ、まだ荷物乗せる余裕があるから、乗せてやってもいいけどよ……」

フローラ:「船に乗ってる間、うちのマスコット (ラズリのこと) を貸してあげるからさ」

エクス:「ほーーーーーおおおおう。それはそれは……。船の男は女に飢えてるからなぁ」

ラズリ:(フローラの背中に刃物を当てて)「フ、ロ、オ、ラ?」

フローラ:「ああー、何か背中に冷たい物がっ(笑)。──で、乗せてってくれるの?」

エクス:(ラズリとティンベルを見て)「お嬢さんたちは大歓迎なんだが……」

フローラ:(突然話題を変えて)「──お前確か美人な嫁さんがいたよな?」

エクス:「あ、ああ、今でも美人だぜ」

フローラ:「で、確か結婚する前に付き合ってた子がいたよなぁ──名前は何て言ったけな……」

エクス:「あ、あいつとは結婚する前に別れたぞ!  何の関係が……」

フローラ:「そうだったか?  確か結婚した後も──」

クロヌシ:「そうそう、確か2、3回──」

エクス:(思いっきり動揺して)「ナゼオマエラガソレヲシッテイル?」

フローラ:「ふっ、オレの情報網をなめるなよ」

エクス:「とほほほほほ……」

クロヌシ:「乗せていって──くれるな?」

エクス:「お嬢さんたちは大歓迎なんだが……」

ガルフ:「えーい、まどろっこしい!」(近くにあった建物の壁をゴガッと破壊する)

ティンベル:「そういうことすると、協会だか組合だかに両手つかまれて連れていかれちゃうよ(笑)。公共物破損の罪で」

クロヌシ:「──これで最後だ。乗せていってくれるな?」

エクス:「──分かった……。その壁の修理代を払ってくれるなら乗せてやるよ」

フローラ:「払っとけよ。オレたちは知らんからな」

ガルフ:「金、ないぞ……」

GM:じゃあ身体で払ってもらおうかな。

ガルフ:それは奴隷のように働けってこと?

フローラ:「そのまんまのイミだ。大丈夫、船乗りは男が好きなのも多いから(笑)」

ガルフ:(衣服を乱して)「しくしくしく……けがされた……」

エクス:「………。それよりお前ら、砂漠用の装備は買ったのか?」

フローラ:「あ、忘れてた」

エクス:「早く買ってこい。出航しちまうぞ」

フローラ:「ちょっと待ってろ。すぐ買ってくるから」

ラズリ:「おじさん、ちょっと待っててね」

エクス:「お嬢さんは大歓迎だよ(笑)」
 




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