カスタ:「みなさん、あの……リューデスを見ませんでしたか?」
ラズリ:リューデス?
フローラ:誰だっけ?(笑)
GM:5年前に君たちが会った、叫んでいた少年だ。──今は19歳だけどね。
フローラ:あー、思い出した思い出した。なに、あの子もいなくなったの?
カスタ:「あの子もって、どういうことです?」
クロヌシ:ひょっとしてレミーラが捕まったこと、まだ知らないのか?
GM:うん。カスタは、まだレミーラは『ホフヌング』で治療してもらってると思っている。
ラズリ:なら黙っておいた方がいいかもね。
カスタ:「それから──レミーラのベッドの上にこんなものが……」(懐から紙切れを取り出す)
GM:ストロンシャンの地図だね。塔のひとつに印がついている。
ガルフ:その塔はレミーラがいる塔と──
GM:一致しているね。
ラズリ:「つまりツェラーが見せたいものって……レミーラ?」
クロヌシ:「レミーラを人質にして『十六夜』と交換するつもりか?」
フローラ:「たぶん、そうでしょうね……」
ガルフ:「くそっ、汚い手を使いやがって……!」
フローラ:「待っててよ、レミーラ……。きっと助けるからね……」
ガルフ:少し離れたところから様子をうかがうぞ。見張りとかいない?
GM:人の気配はないね。
ティンベル:突撃しちゃおうよ。敵がいれば蹴散らせばいいだけだって(笑)。
ラズリ:でもレミーラが危なくない?
クロヌシ:向こうが来いって言ったんだ。そうそう変なマネはしないだろ。
ガルフ:よし、いくぞ。
ガルフ:扉の前で『忍法ワンダフルジャスティスアーイ』!
GM:罠はないよ。鍵もかかってない。
ティンベル:どかあっと開ける。
GM:上に昇る階段がある。そんだけ。
ガルフ:さくさく進むぞ。2階へゴーだ!
クロヌシ:1階に1部屋か……。
ガルフ:扉に『忍法ワンダフルジャスティスアーイ』!
GM:罠なし! 鍵なし!
ガルフ:どかあ!
GM:はい、階段があるよ。
ツェラー(スピーカー):「フローレンス=ファン=ストライクイーグル──本名ファン=ルーン。パクの村の生き残り。
村を襲った謎の集団から身を守るため女装をし、恋人を探す旅に出る」
フローラ:なぜそこまで知っている!? さてはアタシのファンね!(笑)
ガルフ:ホントにそうだったらすごくイヤなんだけど(笑)。
ツェラー(スピーカー):「恋人の名はレイナ、その妹の名はレミーラ──共に月の民。くくく……」
クロヌシ:「月の民だと!? そうなのか、フローラ?」
フローラ:なんかそうらしいわよ(笑)。
ガルフ:言いたいことはそれだけか! 扉に向かって『ワンダフルジャスティスアーイ』!
GM:罠はなし! 鍵はかかって……ないよ。
ガルフ:よっしゃ、ばあん!
ツェラー(スピーカー):「『鍵』の力を伝えるための媒体として、何らかの『祭器』が必ず存在するという。
その形は様々で、腕輪であったりネックレスであったりする。今回は剣だったワケだ」
クロヌシ:『十六夜』のことだな。
ガルフ:『ワンダフルジャスティスアーイ』!
ツェラー(スピーカー):「今回『祭器』が生まれる条件はふたつ。ひとつは月の民であること。そして──」
GM:透明になった壁の向こう。ツェラー、ナタリー、十字架に張りつけられたレミーラ、そして──
フローラ:「レイ……ナ……。間違いない……レイナだ……」
ラズリ:「あれが……レイナさん……?」
GM:「レイナはレミーラに寄り添うように立っている。その顔に、表情はない」
フローラ:「レイナ! ──お前らレイナに何をした!?」
ツェラー:「『祭器』が生まれる条件。もうひとつは──肉親の手によって殺されることだ」
フローラ:「なっ……」
クロヌシ:(『十六夜』を握り締めて)「確かこの剣はガトーさんの娘だったはずだ……」
ラズリ:あっ──てことはガトーさんも……
GM:殺したんだよ。自分の娘を、自分の手で──自らの研究のためにね。
クロヌシ:「そういう……ことだったのか……」
フローラ:「レイナとレミーラを離せ!(壁に駆けよって) レイナ! レミーラ! ……くそっ!」
ガルフ:「どけ、フローラ! こんな壁、斬馬刀で粉々にしてやるぜ!」
ナタリー:「ツェラー、もういいでしょう? ──始めなさい」
GM:ツェラーは肩をすくめると、すっとレイナに近づく。そしてこう囁く──
ツェラー:「レイナ、分かるな。この娘がお前の妹を殺したのだ──分かるな?」
フローラ:「!!!」
ツェラー:「さあ、復讐を果たすがいい。この娘の心臓を……つかみ出すのだ」
レミーラ:「いやっ、いやあああ……!」
ガルフ:「レミーラは……意識があるのか!?」
ラズリ:「ひどい! ひどすぎるよ、こんなの!」
クロヌシ:「くそっ、なんてヤツらだ……」
ティンベル:(思いっきり壁を殴りつける)
レミーラ:「お姉ちゃん、やめて……お願い……」
ラズリ:「レイナさん! お願い……殺さないで……。殺さないでぇ!」
フローラ:「やめろ! やめろオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!」
レミーラ:「いやああああああああああああああああああああああ……!!!」
ツェラー:「美しい……正に命の輝き……」
ナタリー:「これが『朔夜(さくや)』……。もうひとつの『祭器』……」
ツェラー:(片手で転送空間を作り)「私が憎いなら追ってこい。我がアジトで決着をつけてやる」
GM:そう言うと、ツェラーは転送空間の中へ。転送空間は消えることなく、ぽっかりと黒い口を開けたままだ。
フローラ:「は、はは……ウソだろ……んな……」(崩れ落ちる)
ガルフ:「くそっ!(壁を殴りつける)。オレたちは……無力だ……」
クロヌシ:「ああ……そうだな……」(『十六夜』をぐっと握り締める)
ティンベル:(壁に何度も頭を叩きつける──血が出るのも構わずに……)
ラズリ:(唇をかんで)「許せない……許せないよ……絶対に……」
GM:ツェラーたちが姿を消すと同時に、透明の壁は消える。そしてふらふらとレイナが近づいてくる。
フローラ:「レイナ……」(ゆるゆると立ち上がる)
レイナ:「ルーン……ルーンなのね?」
レイナ:「ルーン……会いたかった……」
フローラ:「ああ……オレもだよ……」
レイナ:(レミーラの方を見て)「あの子がね……、あの子が妹は……レミーラは死んだって言うの……。
でも……でも、ウソよね?」
レイナ:「私は信じてる──レミーラはきっと、どこかで生きてるって。……そうでしょ?
ルーン……」