第七話「常闇の奥で」

ガルフ:「カレンが消えただと……?」

ニーナ:「ガルフ……これって……」

ガルフ:「今はジャスティスレンジャーなの!(きりっと顔をひきしめて)──ああ、おそらく、あのウワサは……」

ラズリ:「なになに?  ウワサってなに?」

ガルフ:「とある筋から仕入れた情報だ。カレンは──【水】の土地神の長、海皇の娘らしい」

ラズリ:ひええ!?  まだ話がややこしくなるの?

GM:(そっちで驚いたんかい……)

ガルフ:「それと何か関係があるのか……。──ちっ、情報不足だな。これだけでは分からん」

GM:夜になっても、火が消える気配はない。

ラズリ:(通信機に)「カゴルマの街はほぼ壊滅。『魔獣』は、死にました。グレンも……死にました……」

ナタリー(通信機):「──分かりました。なるべく早くそちらに向かいます。それまでよろしくお願いしますね。
            それから……クレリアのブタの貯金箱、何が何でも探しておいてくださいね」

フローラ:「ブタの貯金箱ね(笑)。はいはい」

ナタリー(通信機):「では、頼みます」(プツッと通信を切る)

ナタリー:(爪をかんで)「──ロゼは我々の求める『魔獣』ではなかったようね……」

GM:さて、プレイヤー諸君。今回はちょっと変わった試みをしてみようと思ってるの、だが。

ラズリ:なになに?

GM:キャラクターたちの過去を、君たち自身に説明してもらいたいのだよ。

クロヌシ:それはちゃんと演技しないといけないのか?

GM:もちろん。臨場感たっっぷりに演じてほしい。

グレン改めガルフ:過去っていうと……やっぱりあれ

GM:そうだね。君はあれしかないでしょう。

ラズリ:過去……。過去かぁ……。

GM:まあ今すぐとは言わないから、ゆっくり考えといて。

一同:はーい。

GM:さて、そうこうしてると遠くの方で人の争う声が聞こえる。

フローラ:争う?  どんな?

GM:「このやろー!」とか「お前らのせいで!」とか。ケンカ、かな。

クロヌシ:周りの様子はどうなんだ?  静かでは──ないだろう?

GM:そりゃもう阿鼻叫喚ってやつですか。

クロヌシ:だろうな……。

オペリオ:♪このイカレた時代へようこそって感じだね♪

GM:で、ひときわ大きな声がするわけだ。その騒ぎはだんだん広まりつつある。

ガルフ:「一体何があったんだ?」

ラズリ:何があったんだろって──なんかちゃっかりガルフがいるように見えるんだけど(笑)。

ガルフ:いつの間にか(笑)。

クロヌシ:さりげなく溶けこんでやがるな、こいつ(笑)。

ガルフ:「みんな、行ってみよう!」──みんなってあたりがポイントね(笑)。

フローラ:で、何が起こってるわけ?

GM:ケンカ──って言うより袋だたきだな、これは。で、よく見ると、袋だたきにされてるのはブルーノア家の召し使いたちだ。

ティンベル:なっ!?

GM:「領主のくせに!」とか「前からむかついてたんじゃ!」とか言ってギャリソンその他をボコボコにしている。

ティンベル:領主?

GM:そう。言い忘れてたけど、ブルーノア家は今、領主代理なのだ。領主が3年ぐらい前に死んじゃってね。
   跡取りもいなくて、昔から仲がよくて権力もあるブルーノア家の人間が代理となったのだ。
   で、ウィルが死んじゃっててティンベルも不在だったから、ギャリソンがせこせことやってたんだけど、ね。
   さすがにうまくいかなかったワケ。で、こういうことになったから──

クロヌシ:八つ当たりされてるわけか……。

GM:そういうこと。みんな、家が壊れたりおなかがすいてたりしてて、気が立ってるのよ。

ラズリ:そう……だろね……。

ガルフ:それはさておき、止めるぞ、ケンカ。

ティンベル:(割って入りながら)「やめるんだ!」

ガルフ:「いいかげんにしろ!」

GM/若い男:「うるせえ!」

ティンベル:一般人なんだよねぇ。ぶん投げちゃおうかな(笑)。

GM:そこへミュスカディが割って入ってくる。

ガルフ:あ、いたんだ。

GM:ミュスカディとオルディネールはいるよ。ラグランジェはいない。

ミュスカディ:「はいはいはい、とんでもないことに巻き込まれたからって八つ当たりしないの」

ガルフ:「うんうん」

ミュスカディ:「で、オカマ導士!」(フローラのことだ)

フローラ:(気づいていない)

GM:フローラ、君のことだよ。

ティンベル:ごめん、オカマ同士かと思った(笑)。

フローラ:違うわよ。アタシはオカマで、クロヌシはホモなの!

クロヌシ:ちがーう!

ガルフ:どう違うんだよ。

フローラ:いい?  ホモってのは男が好きなのよ。それに比べてオカマは──(以下えんえんとオカマとホモの違いについて語る)

ガルフ:……すまん、聞いたオレが悪かった。

GM:で、フローラ。

フローラ:なによ。

GM:ミュスカディが小さな水晶球をふたつ投げてよこす。知力で判定してみて。

フローラ:(コロコロ)成功してる。

GM:封印魔法をほどこした水晶球だ。

ミュスカディ:「それ、解呪して」

フローラ:「何が入ってるの?」

ミュスカディ:「食料」

クロヌシ:「ほう」

フローラ:「解呪するわよー。ガルフ、みんなに説明してあげて」 

ガルフ「おお、なんと水晶球の中からたくさんの食料が!」 

フローラ:そーゆー説明じゃなくて……ここにいる人たちに食料があるって説明してよ。

クロヌシ:でもこういうところで食料を出すとかえってやばくないか?

ガルフ:「それもそうだな。(ぶんっと斬馬刀を振り回して)お前らここをどけぇ!」

一同:うわあああ、危ないって!

ガルフ:いや、とりあえず食料を置くスペースを作ろうと思って……。

ラズリ:「いい?  正義の味方は暴力で人を動かしちゃいけないのよ」

ミュスカディ:(他の水晶球を解呪しながら)「まだまだあるからね」

ラズリ:「はいはい、一列に並んで〜!  そこ、割り込みしないでね」

ガルフ:「こら、横取りすんじゃねえ」

ティンベル:「ギャリソン、大丈夫か?」

GM:ギャリソンはガタガタ震えている。全身キズだらけだよ。

オルディネール:(ティンベルに近づいて)「今のうちにあなたの召し使いたちを安全なところへ」

ラズリ:なるほど、こちらで引きつけてる間に逃がすんだね。

ティンベル:それはいいんだけど……私の屋敷って壊れちゃったんだっけ?

GM:見事に全壊(笑)。でも地下室は無事かもしれない。

ティンベル:食料庫って普通地下にあるよね。

GM:そう……だな……。

ティンベル:じゃあ無事かもしれないんだ、食料……(考えこむ)。

クロヌシ:ところで火は消えたのか?

GM:いや、まだ燃えてるよ。

ラズリ:それは食料なんか配ってる場合じゃないのでは……?  火を消すのが先じゃない?

フローラ:それに、少しだけ食料を与えるとかえってヤバイわよ。奪い合いとかになるんじゃない?

ティンベル:「ギャリソン」

ギャリソン:「は、はい、お嬢様」

ティンベル:「食料庫は無事か?」

ギャリソン:「さあ、あいにく私には……」

ティンベル:「騒ぎがこれだけで収まるとは思えない。ありったけの食料を用意しろ」

ギャリソン:「分かりました」

ティンベル:「それにしても……(ふっと空を見上げて)これだけ火が出れば、雨が降ってもおかしくないのに……」

ラズリ:「そうだねえ」

GM:まだあれからそんなに時間が経ってないからね、そうそう降りはしないでしょ。

ティンベル:「そっか……。──貯水庫は無事か?」

ギャリソン:「あったんですか、そんなもの(笑)」

ティンベル:普通あるでしょ。貯水池とか。

GM:あるだろうね。森もあるし、川もあるし。何とかなるだろう。

ティンベル:(ラズリたちに向かって)「すみませんが消火の方、お願いできますか?」

ラズリ:「まーかせといて!  みんな、水をくむのよ!」

フローラ:「バケツリレーってワケね。──できる?」

ミュスカディ:「私が『空間封印』で川の水を運ぶわ」

ガルフ:「じゃあ、オレは斬馬刀で建物を壊して、これ以上火が燃え広がらないようにしよう」

クロヌシ:「俺も手伝う」

ガルフ:うーん、おもいっっきり全力で壊していいんだね?(笑)

ミュスカディ:「じゃ、破壊の方がんばってね」

ガルフ:ぼっこんぼっこんぼっこん!(壊しまくってる)

クロヌシ:まちがって人まで斬ったりしてな(笑)。

一同:こらこらこら。

ティンベル:「じゃあ、私たちは屋敷の方へ。誰かここにゆかりのある……ひと……」

オペリオ:「♪…………♪」

ティンベル:「そういえばウィル(ティンベルの父親)の古い友達だったね(笑)」

オペリオ:「♪分かった。ついて行こう♪」




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