ニーナ:「ガルフ……これって……」
ガルフ:「今はジャスティスレンジャーなの!(きりっと顔をひきしめて)──ああ、おそらく、あのウワサは……」
ラズリ:「なになに? ウワサってなに?」
ガルフ:「とある筋から仕入れた情報だ。カレンは──【水】の土地神の長、海皇の娘らしい」
ラズリ:ひええ!? まだ話がややこしくなるの?
GM:(そっちで驚いたんかい……)
ガルフ:「それと何か関係があるのか……。──ちっ、情報不足だな。これだけでは分からん」
GM:夜になっても、火が消える気配はない。
ラズリ:(通信機に)「カゴルマの街はほぼ壊滅。『魔獣』は、死にました。グレンも……死にました……」
ナタリー(通信機):「──分かりました。なるべく早くそちらに向かいます。それまでよろしくお願いしますね。
それから……クレリアのブタの貯金箱、何が何でも探しておいてくださいね」
フローラ:「ブタの貯金箱ね(笑)。はいはい」
ナタリー(通信機):「では、頼みます」(プツッと通信を切る)
GM:さて、プレイヤー諸君。今回はちょっと変わった試みをしてみようと思ってるの、だが。
ラズリ:なになに?
GM:キャラクターたちの過去を、君たち自身に説明してもらいたいのだよ。
クロヌシ:それはちゃんと演技しないといけないのか?
GM:もちろん。臨場感たっっぷりに演じてほしい。
グレン改めガルフ:過去っていうと……やっぱりあれ?
GM:そうだね。君はあれしかないでしょう。
ラズリ:過去……。過去かぁ……。
GM:まあ今すぐとは言わないから、ゆっくり考えといて。
一同:はーい。
GM:さて、そうこうしてると遠くの方で人の争う声が聞こえる。
フローラ:争う? どんな?
GM:「このやろー!」とか「お前らのせいで!」とか。ケンカ、かな。
クロヌシ:周りの様子はどうなんだ? 静かでは──ないだろう?
GM:そりゃもう阿鼻叫喚ってやつですか。
クロヌシ:だろうな……。
オペリオ:♪このイカレた時代へようこそって感じだね♪
GM:で、ひときわ大きな声がするわけだ。その騒ぎはだんだん広まりつつある。
ガルフ:「一体何があったんだ?」
ラズリ:何があったんだろって──なんかちゃっかりガルフがいるように見えるんだけど(笑)。
ガルフ:いつの間にか(笑)。
クロヌシ:さりげなく溶けこんでやがるな、こいつ(笑)。
ガルフ:「みんな、行ってみよう!」──みんなってあたりがポイントね(笑)。
フローラ:で、何が起こってるわけ?
GM:ケンカ──って言うより袋だたきだな、これは。で、よく見ると、袋だたきにされてるのはブルーノア家の召し使いたちだ。
ティンベル:なっ!?
GM:「領主のくせに!」とか「前からむかついてたんじゃ!」とか言ってギャリソンその他をボコボコにしている。
ティンベル:領主?
GM:そう。言い忘れてたけど、ブルーノア家は今、領主代理なのだ。領主が3年ぐらい前に死んじゃってね。
跡取りもいなくて、昔から仲がよくて権力もあるブルーノア家の人間が代理となったのだ。
で、ウィルが死んじゃっててティンベルも不在だったから、ギャリソンがせこせことやってたんだけど、ね。
さすがにうまくいかなかったワケ。で、こういうことになったから──
クロヌシ:八つ当たりされてるわけか……。
GM:そういうこと。みんな、家が壊れたりおなかがすいてたりしてて、気が立ってるのよ。
ラズリ:そう……だろね……。
ガルフ:それはさておき、止めるぞ、ケンカ。
ティンベル:(割って入りながら)「やめるんだ!」
ガルフ:「いいかげんにしろ!」
GM/若い男:「うるせえ!」
ティンベル:一般人なんだよねぇ。ぶん投げちゃおうかな(笑)。
GM:そこへミュスカディが割って入ってくる。
ガルフ:あ、いたんだ。
GM:ミュスカディとオルディネールはいるよ。ラグランジェはいない。
ミュスカディ:「はいはいはい、とんでもないことに巻き込まれたからって八つ当たりしないの」
ガルフ:「うんうん」
ミュスカディ:「で、オカマ導士!」(フローラのことだ)
フローラ:(気づいていない)
GM:フローラ、君のことだよ。
ティンベル:ごめん、オカマ同士かと思った(笑)。
フローラ:違うわよ。アタシはオカマで、クロヌシはホモなの!
クロヌシ:ちがーう!
ガルフ:どう違うんだよ。
フローラ:いい? ホモってのは男が好きなのよ。それに比べてオカマは──(以下えんえんとオカマとホモの違いについて語る)
ガルフ:……すまん、聞いたオレが悪かった。
GM:で、フローラ。
フローラ:なによ。
GM:ミュスカディが小さな水晶球をふたつ投げてよこす。知力で判定してみて。
フローラ:(コロコロ)成功してる。
GM:封印魔法をほどこした水晶球だ。
ミュスカディ:「それ、解呪して」
フローラ:「何が入ってるの?」
ミュスカディ:「食料」
クロヌシ:「ほう」
フローラ:「解呪するわよー。ガルフ、みんなに説明してあげて」
ガルフ:「おお、なんと水晶球の中からたくさんの食料が!」
フローラ:そーゆー説明じゃなくて……ここにいる人たちに食料があるって説明してよ。
クロヌシ:でもこういうところで食料を出すとかえってやばくないか?
ガルフ:「それもそうだな。(ぶんっと斬馬刀を振り回して)お前らここをどけぇ!」
一同:うわあああ、危ないって!
ガルフ:いや、とりあえず食料を置くスペースを作ろうと思って……。
ラズリ:「いい? 正義の味方は暴力で人を動かしちゃいけないのよ」
ミュスカディ:(他の水晶球を解呪しながら)「まだまだあるからね」
ラズリ:「はいはい、一列に並んで〜! そこ、割り込みしないでね」
ガルフ:「こら、横取りすんじゃねえ」
ティンベル:「ギャリソン、大丈夫か?」
GM:ギャリソンはガタガタ震えている。全身キズだらけだよ。
オルディネール:(ティンベルに近づいて)「今のうちにあなたの召し使いたちを安全なところへ」
ラズリ:なるほど、こちらで引きつけてる間に逃がすんだね。
ティンベル:それはいいんだけど……私の屋敷って壊れちゃったんだっけ?
GM:見事に全壊(笑)。でも地下室は無事かもしれない。
ティンベル:食料庫って普通地下にあるよね。
GM:そう……だな……。
ティンベル:じゃあ無事かもしれないんだ、食料……(考えこむ)。
クロヌシ:ところで火は消えたのか?
GM:いや、まだ燃えてるよ。
ラズリ:それは食料なんか配ってる場合じゃないのでは……? 火を消すのが先じゃない?
フローラ:それに、少しだけ食料を与えるとかえってヤバイわよ。奪い合いとかになるんじゃない?
ティンベル:「ギャリソン」
ギャリソン:「は、はい、お嬢様」
ティンベル:「食料庫は無事か?」
ギャリソン:「さあ、あいにく私には……」
ティンベル:「騒ぎがこれだけで収まるとは思えない。ありったけの食料を用意しろ」
ギャリソン:「分かりました」
ティンベル:「それにしても……(ふっと空を見上げて)これだけ火が出れば、雨が降ってもおかしくないのに……」
ラズリ:「そうだねえ」
GM:まだあれからそんなに時間が経ってないからね、そうそう降りはしないでしょ。
ティンベル:「そっか……。──貯水庫は無事か?」
ギャリソン:「あったんですか、そんなもの(笑)」
ティンベル:普通あるでしょ。貯水池とか。
GM:あるだろうね。森もあるし、川もあるし。何とかなるだろう。
ティンベル:(ラズリたちに向かって)「すみませんが消火の方、お願いできますか?」
ラズリ:「まーかせといて! みんな、水をくむのよ!」
フローラ:「バケツリレーってワケね。──できる?」
ミュスカディ:「私が『空間封印』で川の水を運ぶわ」
ガルフ:「じゃあ、オレは斬馬刀で建物を壊して、これ以上火が燃え広がらないようにしよう」
クロヌシ:「俺も手伝う」
ガルフ:うーん、おもいっっきり全力で壊していいんだね?(笑)
ミュスカディ:「じゃ、破壊の方がんばってね」
ガルフ:ぼっこんぼっこんぼっこん!(壊しまくってる)
クロヌシ:まちがって人まで斬ったりしてな(笑)。
一同:こらこらこら。
ティンベル:「じゃあ、私たちは屋敷の方へ。誰かここにゆかりのある……ひと……」
オペリオ:「♪…………♪」
ティンベル:「そういえばウィル(ティンベルの父親)の古い友達だったね(笑)」
オペリオ:「♪分かった。ついて行こう♪」