ラズリ:ご……5年……?
クレリア:ウ、ウラシマ効果ってやつですか?
GM:神殿にあった奇妙な装置、あれは時間の流れを操る装置だったのだ。
ラズリ:あ、そうだったのかぁ。
フローラ:5年……。戸籍上は36歳……。うっわあ〜!
クロヌシ:俺は……37歳か。
オペリオ:♪おれなんか38だよーん──って一番おやじじゃないかぁ(笑)♪
グレン:何年たっても年の差は変わんねーよ(笑)。
カスタ:そんなことより早く中へ。レミーラちゃんが……。
フローラ:レミーラって……ひょっとして、かなりやばいの?
カスタ:ええ。食事もろくにできないぐらい……。
ラズリ:それってかなりやばいよ。急ごう。
カスタ:「レミーラ、フローラさんが帰ってきたわよ」
フローラ:「ただいま、レミーラ」
レミーラ:「………フローラ……おねーちゃん………」
ティンベル:をを! おねーちゃんと呼んだぞ──オカマなのに。
GM:そーゆー問題ではない。
クロヌシ:まだ意識はあるんだな?
ティンベル:じゃ、首つかんでぶんぶんぶん。
GM:するな! そーゆーことすると、生命力判定しちゃうぞ。失敗したら死んじゃうぞ。
フローラ:(顔を近づけて)「だいぶ顔色よくなったじゃない。お花買ってきたから飾っとくね。
あ、あとお薬持ってきたからちゃーんと飲むのよ」
ラズリ:花なんていつの間に……。何の花?
フローラ:(あっさりと)椿。
ラズリ:ツバキはやばい、ツバキは(笑)。
フローラ:ま、それは冗談だけど。さてそれじゃ、薬、調合しますか!
カスタ:「でしたら調合室を使ってください。こちらです」
カスタ:「私はレミーラちゃんのところにいますから、何かあったら呼んでください」(部屋から出ていく)
フローラ:(薬の入ったビンを取り出して)確か血を混ぜるのよね。
GM:そう、今のままでは、この薬を飲ませても(3Dを振って)10の成功率しかない。
で、ひとり血を混ぜるごとに成功率がプラス1される。
グレン:なるほど。だが、オレたちはマイナス3の修正で生命力判定しなくちゃいけないんだろ? で、失敗したら死ぬ──と。
フローラ:ふっふーん。今回から生命力が9になったのよ。5回振れるわ。
GM:新ルールで作り直したもんね。生き延びるチャンスが増えたな。
フローラ:それじゃ、アタシからいくわよ。手首ぶしゅっ!
GM:フローラ、君は幻覚を見る。
グレン:オ、オクレ兄さん!
GM:ちがぁう。だいたい君の番はまだ後だ。
フローラ:それ!(コロコロ)見よ、クリティカル! 愛の力ね。
シーン1 フローレンス=ファン=ストライクイーグル
「ここは、オレの村じゃないか……」
向こうから誰かが歩いてくる──悲しげな顔で。
「レイ……ナ?」
フローラは彼女の名をつぶやいた。行方不明の恋人の名を。
レイナは妹を探しているようだった。
「レイナ! レミーラはここにいる! 聞こえないのか? レイナ! オレだ! ルーンだ!」
レイナがこちらを向く。瞳の中に、宇宙が見えた。
宇宙──そう、フローラは星の海にいた。
レイナがいる。レミーラもいる。淡い、金色の光を放って。
そして、わずかに欠けた丸い月が見えた──
クロヌシ:生命力マイナス3──(コロコロ)ふん、成功だ。
シーン2 クロヌシ=オオトモ=ラ=ソウリン
そこへ、お粥を持った妻が入ってきた。息子のシズマも。
「父さん、早くよくなってね」
「ああ」
手渡された碗の蓋を開ける。白い湯気が立ちのぼり──
中には、砂が入っていた。見覚えのある砂──砂漠の砂だ。
「な、なんだ!?」
砂が……襲いかかってくる。生き物のように。
それを、いつの間にか手にしていた刀で──『十六夜』で切り捨てた。
キラキラと降りそそぐ砂の中に、黒髪の少女の姿を見た気がした。
シーン3 オペリオビッチ=ハイドレンジャー
落ちていく、落ちていく、落ちていく──フェードアウト。
「♪そ〜れ〜だ〜け〜かぁ〜!(笑)♪」
シーン4 グレン=ディーザー
足音。誰かが近づいてくる。その誰かを、グレンは殺さなければならない。理由は、分からないが。
グレンは、そっと手の中のナイフを握り直した。
そして、姿を現す人物──老人だ。
グレンはこの人を知っていた。思い出せないが──知っている。
だが、グレンはもう飛び出してしまっていた。止まらない。
ナイフは、吸い込まれるように老人の胸に突き刺さった。
傷口からあふれる水。血ではない。水だ。
辺り一面が水で覆われる。グレンの体は溶けていく。溶けて──
そして、水は血の海に変わる。
シーン5 ティンベル=S=ブルーノア
麦わら帽子。白いワンピース。遠い昔の記憶。
遠くから歩いてくる、ふたつの人影。
ひとりはウィル。自分の、父親。
ひとりはD・R。妹の、父親。
ウィルが言う。「こっちへおいで。あの人が待っているよ」
D・Rが言う。「こっちへおいで。あの人が待っているよ」
ウィルが右手を、D・Rが左手をつかむ。
そして、ティンベルの体はふたつに裂けた──
クレリア:(コロコロコロ〜)ああ!
シーン6 クレリア=リーベンガード
燃える炎。泣き叫ぶ子供。お腹をすかせた人々。だが、クレリアはパンもお金も持っていない。
怪我人もたくさんいる。呪文でも治らないほどの、重傷者たちが。
「私には……何もできない……」
気がつくと、横に女の子が立っていた。白い髪の少女が。
幼イ日ノ……ワタシ?
「こっちにいらっしゃい……」少女が言う。
「救いがほしいのなら、ついてらっしゃい」
赤い風が吹き、少女の髪をなびかせる。
「そこから全てが始まるわ」
少女は歩き出す。
「いらっしゃい、クレリア。希望の名の場所へ……」
シーン7 ラズリ=ルルー
「いい湯ですね」
湯けむりの向こうから、オルディネールが姿を現す。
「……のぞきですか?」
顔を赤らめ、胸元を隠すラズリ。
「変わってますね、オゥリンは。……我々メーヴェとは違う」
──気がつくと、水の中にいた。
「私には、あなたが必要です」オルディネールの声がする。
「俺はお前がほしい」ロートシルトの声がする。
「アンタなんかいらないわ!」少女の声がする。
「我々のところに来い」老人の声がする。
「解放しなさい」女性の声がする。
「鍵なる娘よ……」少年の声がする。
そして──
「ラズリ、戻って来なさい……私のところへ」
オルディネール:「ラグランジェ……」
アユモ:「ごめん、オルディ。ボクらが魔族だってこと、話してしまって……」
オルディネール:「ええ……どうせまたロートが何かしたのでしょう?」
アユモ:「いや、それは、そうなんだけど……ね……」
オルディネール:「まあ、かまいませんよ。嘘つくの、好きじゃありませんし」
アユモ:(ぼそっと)「……よく言うよ」
オルディネール:(にこにこ笑いながら)「何か言いました?」
アユモ:(視線をそらして)「いや、何も」
オルディネール:「……なんか私、クレリアっぽいですね(笑)」
アユモ:「それ言っちゃヤバイって(笑)。──で、何の話だっけ?」
オルディネール:「まじめな話です!(笑)(咳払いして)ラグランジェ、そろそろ戻ってくるつもりはありませんか?」
アユモ:(きっぱりと)「いやだよ。ボクはもう……戦いたくない」
オルディネール:「でも、あなたはすでに戦いの渦に巻き込まれている──あの少女のせいで」
アユモ:「ラズリさんは……関係ないだろ……。それに、もう戦いは終わった──終わったはずだよ」
オルディネール:「……まだ、始まってもいませんよ。
ねえ、ラグランジェ……、嘘と沈黙を重ね、女性に溺れて……それでいいんですか?」
アユモ:(うつむいて)「楽しいんだよ……一緒にいると」
オルディネール:「…………。(くるっと背中を向けて)私はシャルトルーズの森に行きます。
また、会いましょう」(すうっと姿を消す)
アユモ:「………ごめん、オルディ。でも、もう決めたんだ……」