第四話「こぼれ落ちる雫」



 はるか海の底──そこに、海底宮はある。

“水”の土地神たちが住処にしている場所だ。

「やれやれ。魚ってのはどーも色気がなくていやだね」

 ロートシルトはそうぼやくと、横にいるタイに声をかけた。

「なんか飲み物持ってきてくれない?」

 タイは身動きひとつしない。

「傀儡がうまくいってないのか? ……ちぇっ、ツェラーのように上手くははいかねーか……。飲み物だよ、飲、み、物」

 やっと動き出す。どこかぎこちないが。

「土地神か……。こいつらに何の力があるんだろーね。あーあ、地上の女の子が恋しいよ……」

 タイがグラスを持ってくる。中に入っているのは──海水だ。

「あー、もういい。ったく」

 そう言いながら手をかざす。次の瞬間、タイは跡形もなく消えていた。

 そして、ロートシルトも──

GM:前回のラストは覚えているかな?

クレリア:ジャスティスレンジャーが出てきたんですよね。

ラズリ:そうそう。あとあたしの偽者も。

グレン:2P用のラズリだろ?

ティンベル:黒ラズリ……。

GM:なんか好き放題言ってるな。目的は覚えてる?

フローラ:薬もらいに行くんでしょ? なんとかの森に。

GM:ちがーう! シャルトルーズの森に使者──オルディネールを連れて行くの。

フローラ:そうだったっけ。

GM:それじゃシャルトルーズの森へ出発ってことで──いいね?

一同:ういーす。
 


GM:君たちは森の入り口に立っている。

クレリア:確か人間は入れないんですよね。

GM/コロボックル:「人間たちの間ではそう言われているみたいですが……あれはうそです」

一同:「うそ?」

コロボックル:「森が──樹人たちが入れてもよいと判断した者は、入ることができるのです」

クロヌシ:「なるほど」

コロボックル:「では、行きましょう」
 


GM:(プレイヤーたちに)ここで全員外に出てくれるかな? ひとりひとりやるから。

一同:げ……。

GM:じゃあ最初はグレンからね。
 

グレン=ディーザーの場合

GM:君は今、真っ白な世界にいる。

グレン:上も下も分からず、ただ意識だけが浮かんでいるという──

GM:そうそう、そんな感じ。で……、どこからともなく声が聞こえてくる。

:『汝は何者か』

グレン:「グレン=ディーザー」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

グレン:「強いて言えば……カレン──かな」

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

グレン:「とりあえず自分の記憶を取り戻すことだ。今のオレにはそれしか考えられん……」
 

クロヌシ=オオトモ=ラ=ソウリンの場合

GM:君は今、真っ白い空間にいる。で、どこからともなく声が聞こえてくる。

クロヌシ:「誰だ!」

:『汝は何者か』

クロヌシ:「俺の名はクロヌシ。クロヌシ=オオトモ=ラ=ソウリンだ」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

クロヌシ:「私の家族だ」

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

クロヌシ:「月の船の平和を守ること。……君主のためなら、命も捧げる」
 

フローレンス=ファン=ストライクイーグルの場合

GM:さて君は、真っ白い空間の中にいる。で、どこからともなく声が聞こえてくる。

:『汝は何者か』

フローラ:「私の名はフローレンス=ファン=ストライクイーグル。本名はファン=ルーンと申します」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

フローラ:「大切なもの……いつでも自分の周りに、笑いあえる友がいること」

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

フローラ:「助かりそうにない人でも、困っていれば救ってあげること」
 

オペリオビッチ=ハイドレンジャーの場合

GM:さて君は、真っ白い空間にいると思ってくれ。そして、どこからともなく声が聞こえてくる。

:『汝は何者か』

オペリオ:「♪歌手♪」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

オペリオ:「♪……うた?♪」(←なぜか疑問形)

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

オペリオ:「♪歌うこと♪」
 

ラズリ=ルルーの場合

GM:さて君は、真っ白い空間の中に浮かんでいる。で、どこからともなく声が聞こえてくる。

:『汝は何者か』

ラズリ:「森の民の巫女、ラズリ=ルルーと申します」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

ラズリ:「仲間とその命……」

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

ラズリ:「森の民の巫女としての務めを果たすこと」
 

ティンベル=S=ブルーノアの場合

GM:さて、君は今、真っ白い空間にいると思ってくれ。──で、どこからともなく声が聞こえてくる。

:『汝は何者か』

ティンベル:「自分は……求道者です」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

ティンベル:「……やっぱり、脚かな」

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

ティンベル:「道を求めること」
 

クレリア=リーベンガードの場合

GM:君は今、真っ白い空間の中にいる。そして、どこからともなく声が聞こえてくる。

:『汝は何者か』

クレリア:「……分かりません。ある意味、それを探すために生きています」

:『では汝に問う。汝の一番大切なものは何か』

クレリア:「自分をとりまく人々との絆」

:『では最後に問う。汝のなすべきことは何か』

クレリア:「己に恥じぬように生きること」

GM:やわらかな光に包まれ、気がつくと森の中にいる。

クレリア:全員入れたんですか?

GM:そのようだね。

ラズリ:さっきの変な声はなんだったのかな……。ねぇ、何聞かれた?

GM:質問の内容はみんな一緒だよ。

ラズリ:なーんだ。

GM:んで、周りの木々が枝を揺らしながら話しかけてくる。

フローラ:そういえば樹人なんだっけ。

オペリオ:♪あらあら おやおや それからどんどこしょ〜♪

GM:に〇にこぷん……。

クレリア:かしのきおじさんじゃないんですよ。

GM/樹人:「外より来た者よ、我らに何の用ですか?」

オルディネール:「ラピスの森の使いの者です。『長』にお会いしたいのですが」

樹人:「では、こちらへ」

GM:樹人たちが横に動いて道ができる。

ラズリ:「わぁ……」

樹人:「『長』は<空の鏡>のほとりにいらっしゃいます。こちらへどうぞ……」




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