『雪の神子』はそれを手に取ると、瞳を閉じた。──何かが、見えてくる。
──それは瑠璃色の髪の少女だった。
「ラズリ……」
小さく、その名を呼ぶ。
少女から紡がれる幾本もの糸。それが様々な人々と絡み合い、物語を織り成していく──
それは「運命」の物語。かなしみに満ちた物語。
だが──
運命の輪はすでに回り始めている。
「そしてここからまた始まる……」
氷の円盤が淡く輝いている。涙を湛えながら──
GM:クロヌシクロヌシ。
クロヌシ:なんだ?
GM:例の刀、まだ君が持ってるの?
クロヌシ:ああ、そうだが。
GM:柄のところ、よく見てごらん。髪の毛が巻きついてるとこ……。
クロヌシ:よく見りゃなんか彫ってあるな。……十六夜(いざよい)?
GM:そう……『十六夜』だ。今度からその刀のことをそう呼ぶからね。
GM:さて、見合いもすんで、公演も終わって……。
ラズリ:暇だね。
クレリア:そうですね。
フローラ:どうしようか。護衛続ける? それとも新しい仕事探す?
GM:君らがそうやって相談してると、パタパタと1匹の鷹が飛んでくる。
ラズリ:鷹? バティストゥータ──じゃないよね。
GM:ラズリには見覚えがある。お兄さんの鷹だ。
ラズリ:兄様の?
GM:足に手紙がついている。
ラズリ:なにかな?(がさがさと手紙をはずす)
ラズリへ
元気でやってますか。こちらはみんな元気です。
さて、五日後はおじいさまの六十四歳の誕生日です。おじいさまもラズリと会
える事を楽しみにしているので、必ず帰るように。
それから、フィーユ様から「グレン殿、カレン殿、クレリア殿、クロヌシ殿、
フローレンス殿、ティンベル殿、オペリオ殿を連れてくるように」とのお言葉
です。
それでは、ラピスの森で。
サードニクス
ラズリ:「……だってさ」
グレン:「フィーユというのは何者だ? なぜオレの名を知っている?」
ラズリ:「フィーユ様は『雪の神子』なの」
グレン:「未来を見る力──オレの記憶につながる何かが「見えた」のか……?
……いいだろう。行ってやる、ラピスの森へ」
フローラ:「ラズリのおじいちゃんが森の民の族長なのよね?」
ラズリ:「そだよ」
フローラ:「薬草とか詳しい? レミーラの薬についていろいろ聞きたいんだけど」
ラズリ:「詳しいと思うよ、多分」
フローラ:「行こっか? お呼びもかかってることだし」
オペリオ:「♪あの、おれ、仕事が……♪」
GM:みんなと行きたかったらポームさんを説得しなくちゃね。
オペリオ:「♪い、行ってきま〜す♪」
GM:(かわいく手を振りながら)行ってらっしゃ〜い──てことはないな。
ポーム:「いい機会だ。見聞を広め、いい歌を作り、そして……そして帰ってこい!」
クレリア:やたらと物分かりがいいですね。
オペリオ:「♪あいあいさ〜!♪」
GM:他の人もいいかな?(全員うなずく)では、ラピスの森へ出発だ。
GM:では、いつものように途中とばして、ラピスの森に到着するのだ。
ラズリ:「ただいまー!」
GM/マラカイト:「うおおおお〜! ラズリぃ、会いたかったぞぉ!」
ラズリ:「と、父様……」
マラカイト:どどどどど……がしっ!(抱きつく)
ラズリ:…………(無言でみぞおちに肘打ち)。
マラカイト:「ぐおおおお……」
クレリア:変な親子……。
GM/サードニクス:「おかえり、ラズリ」
ラズリ:「兄様」
GM/ガーネット:「よお、着いたのか」
ラズリ:「そういうあなたはお義姉さんじゃありませんか」
サードニクス:「さあ、トパーズもあいさつしなさい」
GM/トパーズ:「こーにちは!」
ラズリ:「姪のトパーズ? 大きくなったねぇ。いまいくつ?」
ガーネット:「もうすぐ4つかな」
GM/ライム:「お、ね、え、さ、ま☆」(抱きつく)
ラズリ:「ら、らいむぅ〜」(背すじがぞぞぞ……)
フローラ:「……レズ? 誰、この子……」
ラズリ:(小声で)「いとこのライム……」
GM/ペリダート:「なんとも騒がしいのう」
ラズリ:「おじいさま!」
ペリダート:「おお、ラズリ。元気そうでなによりじゃ」
ラズリ:「おじいさまも。それからお誕生日おめでとう!」
ペリダート:「ありがとう。……本当は明日なんじゃがな(笑)」
──そうそう、一息ついたらアメシストにも帰ってきたことを報告しなさい。きっと喜ぶじゃろう」
ラズリ:「分かってる。……後でお墓に行くから」
クロヌシ:「なんかいっぱい出てきたな(笑)」
クレリア:「アメシストというのは?」
ラズリ:「母様。……あたしが小さい時に病気で死んじゃったの」
クレリア:「そうだったんですか……」
グレン:「それで、フィーユというのはどこにいる?」
ラズリ:「森の奥の方だけど……。勝手に行っちゃダメだよ、神聖な場所なんだから」
グレン:(無視して歩きだす)
ラズリ:「しょうがないなぁ。あんまり失礼なことしないでよ」
ラズリ:「フィーユ様」
GM/フィーユ:「ラズリか。久しいな」
ティンベル:おばあさんなの?
GM:ちがうよ。12歳の女の子だ。
一同:じゅうにぃ!?
グレン:「そんなことはどうでもいい。フィーユとやら、なぜオレたちの名を知っていた?」
フィーユ:「『視える』ということは『判る』ということじゃ……もっとも、我が力はまだまだ小さきものだがな」
グレン:「なぜオレたちを呼んだ?」
フィーユ:「お前達が『必要』とされているからじゃ」
グレン:「誰に?」
フィーユ:「……『運命』に」
グレン:理由になってないな。
フィーユ:「遅かれ早かれお前達はここに集うことになっていた。我はそれをただ早めただけ」
グレン:「オレは運命なんて信じない」(くるっと後ろを向き去っていく)
ラズリ:「ちょっとぅ!(フィーユの方を向いて)それじゃ、あたしたちも失礼します」
フィーユ:「すまんな、多くを語れなくて」
ラズリ:「いえ……。あたし、フィーユ様のこと信じてるから」
フィーユ:「……そうか」