第参話「父なる森  母なる湖」


 氷の円盤が淡く輝いていた。

 『雪の神子』はそれを手に取ると、瞳を閉じた。──何かが、見えてくる。

 ──それは瑠璃色の髪の少女だった。

「ラズリ……」

 小さく、その名を呼ぶ。

 少女から紡がれる幾本もの糸。それが様々な人々と絡み合い、物語を織り成していく──

 それは「運命」の物語。かなしみに満ちた物語。

 だが──

 運命の輪はすでに回り始めている。

「そしてここからまた始まる……」

 氷の円盤が淡く輝いている。涙を湛えながら──

GM:クロヌシクロヌシ。

クロヌシ:なんだ?

GM:例の刀、まだ君が持ってるの?

クロヌシ:ああ、そうだが。

GM:柄のところ、よく見てごらん。髪の毛が巻きついてるとこ……。

クロヌシ:よく見りゃなんか彫ってあるな。……十六夜(いざよい)?

GM:そう……『十六夜』だ。今度からその刀のことをそう呼ぶからね。

GM:さて、見合いもすんで、公演も終わって……。

ラズリ:暇だね。

クレリア:そうですね。

フローラ:どうしようか。護衛続ける? それとも新しい仕事探す?

GM:君らがそうやって相談してると、パタパタと1匹の鷹が飛んでくる。

ラズリ:鷹? バティストゥータ──じゃないよね。

GM:ラズリには見覚えがある。お兄さんの鷹だ。

ラズリ:兄様の?

GM:足に手紙がついている。

ラズリ:なにかな?(がさがさと手紙をはずす)

 ラズリへ                              
元気でやってますか。こちらはみんな元気です。             
さて、五日後はおじいさまの六十四歳の誕生日です。おじいさまもラズリと会
える事を楽しみにしているので、必ず帰るように。            
それから、フィーユ様から「グレン殿、カレン殿、クレリア殿、クロヌシ殿、
フローレンス殿、ティンベル殿、オペリオ殿を連れてくるように」とのお言葉
です。                                
それでは、ラピスの森で。                       
                             サードニクス

ラズリ:「……だってさ」

グレン:「フィーユというのは何者だ? なぜオレの名を知っている?」

ラズリ:「フィーユ様は『雪の神子』なの」
 


グレン:「未来を見る力──オレの記憶につながる何かが「見えた」のか……?
     ……いいだろう。行ってやる、ラピスの森へ」

フローラ:「ラズリのおじいちゃんが森の民の族長なのよね?」

ラズリ:「そだよ」

フローラ:「薬草とか詳しい? レミーラの薬についていろいろ聞きたいんだけど」

ラズリ:「詳しいと思うよ、多分」

フローラ:「行こっか? お呼びもかかってることだし」

オペリオ:「♪あの、おれ、仕事が……♪」

GM:みんなと行きたかったらポームさんを説得しなくちゃね。

オペリオ:「♪い、行ってきま〜す♪」

GM:(かわいく手を振りながら)行ってらっしゃ〜い──てことはないな。

ポーム:「いい機会だ。見聞を広め、いい歌を作り、そして……そして帰ってこい!」

クレリア:やたらと物分かりがいいですね。

オペリオ:「♪あいあいさ〜!♪」

GM:他の人もいいかな?(全員うなずく)では、ラピスの森へ出発だ。

GM:では、いつものように途中とばして、ラピスの森に到着するのだ。

ラズリ:「ただいまー!」

GM/マラカイト:「うおおおお〜! ラズリぃ、会いたかったぞぉ!」

ラズリ:「と、父様……」

マラカイト:どどどどど……がしっ!(抱きつく)

ラズリ:…………(無言でみぞおちに肘打ち)。

マラカイト:「ぐおおおお……」

クレリア:変な親子……。

GM/サードニクス:「おかえり、ラズリ」

ラズリ:「兄様」

GM/ガーネット:「よお、着いたのか」

ラズリ:「そういうあなたはお義姉さんじゃありませんか」

サードニクス:「さあ、トパーズもあいさつしなさい」

GM/トパーズ:「こーにちは!」

ラズリ:「姪のトパーズ? 大きくなったねぇ。いまいくつ?」

ガーネット:「もうすぐ4つかな」

GM/ライム:「お、ね、え、さ、ま☆」(抱きつく)

ラズリ:「ら、らいむぅ〜」(背すじがぞぞぞ……)

フローラ:「……レズ? 誰、この子……」

ラズリ:(小声で)「いとこのライム……」

GM/ペリダート:「なんとも騒がしいのう」

ラズリ:「おじいさま!」

ペリダート:「おお、ラズリ。元気そうでなによりじゃ」

ラズリ:「おじいさまも。それからお誕生日おめでとう!」

ペリダート:「ありがとう。……本当は明日なんじゃがな(笑)」
       ──そうそう、一息ついたらアメシストにも帰ってきたことを報告しなさい。きっと喜ぶじゃろう」

ラズリ:「分かってる。……後でお墓に行くから」

クロヌシ:「なんかいっぱい出てきたな(笑)」

クレリア:「アメシストというのは?」

ラズリ:「母様。……あたしが小さい時に病気で死んじゃったの」

クレリア:「そうだったんですか……」

グレン:「それで、フィーユというのはどこにいる?」

ラズリ:「森の奥の方だけど……。勝手に行っちゃダメだよ、神聖な場所なんだから」

グレン:(無視して歩きだす)

ラズリ:「しょうがないなぁ。あんまり失礼なことしないでよ」
 


ラズリ:「フィーユ様」

GM/フィーユ:「ラズリか。久しいな」

ティンベル:おばあさんなの?

GM:ちがうよ。12歳の女の子だ。

一同:じゅうにぃ!?

グレン:「そんなことはどうでもいい。フィーユとやら、なぜオレたちの名を知っていた?」

フィーユ:「『視える』ということは『判る』ということじゃ……もっとも、我が力はまだまだ小さきものだがな」

グレン:「なぜオレたちを呼んだ?」

フィーユ:「お前達が『必要』とされているからじゃ」

グレン:「誰に?」

フィーユ:「……『運命』に」

グレン:理由になってないな。

フィーユ:「遅かれ早かれお前達はここに集うことになっていた。我はそれをただ早めただけ」

グレン:「オレは運命なんて信じない」(くるっと後ろを向き去っていく)

ラズリ:「ちょっとぅ!(フィーユの方を向いて)それじゃ、あたしたちも失礼します」

フィーユ:「すまんな、多くを語れなくて」

ラズリ:「いえ……。あたし、フィーユ様のこと信じてるから」

フィーユ:「……そうか」



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