草木も眠る丑三つ時。藤堂家の屋敷に忍び込まんとする六つの影があった。
GM:離れのすぐ裏にある塀を登るんだね。僧ドットコムから塀に登るとして──見つからないように越えられるかどうか判定してみて。
僧ドットコム:(コロコロコロコロ)塀は越えられたけど、見つかったのネ〜。
一同:ををを〜い!
空雅堂:虚無僧が垂らしてくれたロープを使って登るよ。(コロコロ)……あ、こちらも登るのは大丈夫だけど見つかってしまった。
お雪:(コロコロ)塀すら登れてません。
絵夢:あたしも〜。
椎名:(コロコロ)あ、クリティカル。ものすごく華麗に塀を乗り越えてしまった。
唯樹:こっちも塀を越えるのは問題ないけど……(コロコロ)あはは、気づかれちゃった。
椎名:(コロコロ)……こっちもだ。
GM:では塀を乗り越えて見つかった人。兵士が二人、驚いて近づいてくるぞ。
僧ドットコム:「全力攻撃」で吹き矢を『準備』して吹くネ! (コロコロコロコロ)バッチリ目に命中ヨ!
GM:……やっぱ吹き矢の抜き打ち至近距離射撃はナシにすればよかった。絶叫しながら兵士1は倒れたよ。
椎名:もうひとりに刀を抜いて斬りかかる! 刀の『準備』には成功してる、命中判定は……(コロコロ)ああ、また1足りなくて外れ! ……こんなんばっかりだな。
唯樹:同じく刀を抜いて兵士2に攻撃するよ〜。「全力攻撃」で2回斬りかかる。
GM:(判定して)一度目は「受け」流した。二回目は……駄目か。
唯樹:8点のダメージだよ。
GM:(コロコロ)それは朦朧としているな。
唯樹:よし!
椎名:でも兵士1の声を聞いて人が来るだろうね。
唯樹:仕方ない、このまま陽動作戦に移ろう。
僧ドットコム:では離れの前にでて、大声でさけぶネ。「長曽我部盛親が逃げたのネ〜!!!」
GM:「のネ〜」って……。
そんな僧ドットコムの声を聞いてわらわらと集まってくる武士たち。
椎名:拙者は本物のフリをして逃げればいいんだな。(コロコロ)「技能なし値」だけど、演技には成功している。
唯樹:僕はそれを追う武士のフリして、逆にさりげなく追っ手の邪魔をすればいいんだよね。(コロコロ)……げ、失敗してる。
GM:ということは、君は盛親を逃がそうとしているヤツだと気づかれてしまった。もう一度知力で判定してくれる?
唯樹:向こうにバレてることに気づくかどうかだね。(コロコロ)気づいてない(笑)。本人はノリノリで演技してる。
椎名:拙者も判定していい?
GM:いいよ。
唯樹:「お主、バレておるぞ」と指摘してくれ〜。
椎名:(コロコロ)あははははは……失敗。
一同:なんてこったー!
逃げる椎名、追ってるつもりの唯樹。そしてその後を追う大勢の武士たち。
GM:(コロコロ)十人もついて行ってしまった。(離れの周りには十二、三人の見張りがいるってことにしてたから……残りは離れの中にいる二人ぐらいか)離れの周辺の武士はみんないなくなったぞ。
空雅堂:椎名高志の漫画みたいだね。涙を噴き出しながら必死で逃げてる。
僧ドットコム:たしかにそんなかんじネ〜!(笑)
出水屋(天の声):影武者は本物と思われてるから命まで取られないだろうけど……。
僧ドットコム:ま、ひとりぐらい犠牲がでたほうがカッコイイネ。かっこよくしぬネ〜!
唯樹:死んでたまるか、生き延びてやるー! ぐるっと回ってくれば、殿様脱出用のロープ(つーか最初に入った場所)があるはずだ。
GM:ロープを登ってる間に、十人から攻撃受けるけどね。
空雅堂:それはもちろんひとりが残って、くい止めるんだよ。
GM:影武者の方がね。
唯樹:それもアリかも……。
GM:──で、残った人達はどうする?
僧ドットコム:今のうちに離れにしのびこむネ。
空雅堂:いこう。
GM:では次のシーンへ移ろう。まずは塀を越えられなかった二人から。
お雪:(コロコロ)やっと越えられました。……でも、誰もいないんですよね。
GM:そうだね、死体が二つ転がってるだけで。そして「追え追えー!」という唯樹の声が遠ざかっていく(笑)。
絵夢:「うまくいってるの……かな?」 (コロコロ)……また失敗。たかだか三メートルぐらいの塀(ロープ付き)を登れないってどういうこと?
GM:さて、向こうから二、三人の人が近づいてくる足音がするよ。
絵夢:いやーん、早く登らないとッ!
GM:んで、逃げてる人。そろそろバレてるの気づいていいかも。もう一回知力で判定してみて。今度はプラス3の修正をあげよう。
唯樹:それなら……(コロコロ)気づいた! ──うわ、バレてるッ!?(笑)
椎名:(走りながら)『どさくさに紛れて逃げろ』とジェスチャー。
唯樹:『だったらアンタが立ち止まれよ』とジェスチャー。
椎名:『そんなことしたら捕まっちゃうじゃん』とジェスチャー。
唯樹:『死にはしねーよ!』とジェスチャー。
椎名:『でも痛いの嫌だしッ』とジェスチャー。
唯樹:「とにかく逃げろー!」
GM:じゃ、離れに忍び込んだ人。中に入ると、ちょうど男が柱についてる扉を開けようとしているところ。
唯樹(天の声):タイミングばっちりだね。
GM:木の壁で四方を囲まれた部屋の一角に扉がついている。『扉のある巨大な大黒柱』という表現も、あながち間違っていないな。
僧ドットコム:こっそり忍び寄って、鍵番を吹き矢で攻撃。
GM:(コロコロ)全然気づいてない。鍵開けるのに夢中。
僧ドットコム:「ハぁイ!」
GM/鍵番:「ッ! なにもの──」
僧ドットコム:プッ!(吹き矢発射)
鍵番:「はうッ!」──ぱた。
GM:さてさて。塀の外の人、もう一回判定していいよ。
絵夢:(コロコロ)やった、登れた! 急いで塀の向こうに降りるよ。
GM:ギリギリのタイミングでそこへ武士三人が駆けつける。……ロープは残ってるな。
絵夢:帰り、待ち伏せされてそう……。
追いかけっこはまだまだ続いていた。追っ手の数は増える一方である。
GM:ここらで一回、敏捷力で判定しておこうか。
唯樹:椎名に合わせて走ってたら、基準値は11(椎名の敏捷力)になるの?
GM:そうだね。
僧ドットコム(天の声……というか悪魔のささやき):おいこしちゃえおいこしちゃえ。
唯樹:そうだね。敏捷力14で判定するよ〜。
GM:追い抜きをかけるのか(笑)。
唯樹:(コロコロ)成功度は4。
椎名:こっちは敏捷力11で判定か。(コロコロ)よし、成功度5!
GM:椎名、追い抜かれなかったか。しかもその成功度だと、追っ手を少し引き離した。
唯樹:やったぁ。
僧ドットコム(天の声):それにしても仲間をみすてるなんて、ヒドイやつネ(笑)。
お雪(天の声):体を押し合いながら、どっちが早いか競ってる状態ですか。
空雅堂(天の声):時代劇からギャグ漫画になってしまったね……。
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