GURPS・EDO『れ・みぜらぶる』〜苦情篇〜(七)

―第参幕『救出(逃走)』―

 てなことで一行は盛親のところへ。彼は負傷したらしく、包帯を巻いてもらっていた。
 

GM:ではここで知力判定。プラス5の修正をあげよう。
 

 サイコロを振る一行。さすがに全員成功している。
 

GM:盛親と椎名が非常によく似ていることに気づく。

絵夢:「椎名さんって……影武者……?」

椎名:「ごめんよみんな、情けない影武者で」(←自分で言ってりゃ世話はない)

僧ドットコム:まつネみんな! ここ、ここのホクロとかちがうネ〜!(←クリティカルで成功したので、逆に細かい違いが目についたらしい)

出水屋:(無視して)「お初にお目にかかります。ワタシたちは林豪殿の──」

椎名:その前に、拙者に挨拶させてよ。

GM:挨拶はいいが、外はドーン! ボカーン! ボーン! ってかんじだからね。それをBGMに、挨拶するならどうぞ。

椎名:「えーと……」
 

 「ドーン!」「バリバリバリバリシュゴー!」「撃て、撃てー!」「天守から火の手がー!」「ドォーン!」「ぎゃおーす!」──ここぞとばかりに大騒ぎするプレイヤー(椎名を除く)とGM。
 

椎名:「ですからその、早くここから……」

僧ドットコム:んん? 聞こえんなぁ……。
 

 「ドォーン!」「ほわちゃー!(意味不明)」「ズドドドドド……」
 

椎名:「ですからここから早く逃げましょう……って話を泰蔵から聞いてません?」

盛親:「聞いておらぬ」

一同:泰蔵ー!

泰蔵:「──ということで(←どういうことだ?)、昨日の戦闘で殿は十分役目を果たされました。あとは御身が逃げられるよう渡りをつけておきましたので……どうぞお逃げください」

絵夢:「殿、逃げよう」

盛親:「うむ、逃げよう」

絵夢:早……(笑)。

盛親:「この城はもう、俺ひとりががんばったところで駄目だ」

お雪:「兵をお見捨てになるのですか?」

盛親:「見捨てるというか……大半の兵は、もう逃がしてしまったしな。ここへ逃げ込む前にもう駄目だという話はしてある。長曽我部勢は殆ど死んだということになっておるが、実は戦の際に逃がしてしまったのだ」

唯樹:やるね〜。

出水屋:「それでは未練はありませぬな」

空雅堂:影武者を身代わりにおいて、さあ逃げましょう(笑)。

椎名:え……?

GM:それでもいいんだけどね。

空雅堂:同じところを怪我させて、あとは切腹でもしてもらえば……。

椎名:それはさすがに勘弁……。

GM:さて。抜け道があるにはあるが、そこまでたどり着くのは難しいかもしれない。盛親は負傷してるから、戦力にはならないしね。

出水屋:戦いはどんなかんじ?

GM:陣もへったくれもないね。騎馬戦のど真ん中にいると思ってもらえれば。

絵夢:殿は変装させた方がいい……?

唯樹:だね。

GM:みんな一緒に逃げるのか……? それだと、何のために影武者なんて設定を作ったのかさっぱりなんだが。

お雪:ここにおいていくためじゃないんですか?

僧ドットコム:じゃあ、GMの要望どーり二手にわかれるネ〜!

唯樹:二手に分かれて抜け道の入り口で落ち合う……のも危険か。

絵夢:日にちを決めて、伏見かどこかで落ち合おう。

唯樹:そうだね。──んじゃ分かれるとして……泰蔵君は、本物の殿と一緒がいいのかな。

GM:だろうね。

空雅堂:女性陣は全員本物の方へ。

唯樹&僧ドットコム:えええええ〜ッ!
 

 メンツは、椎名(盛親の影武者)・唯樹(刀の使い手)・出水屋(戦力外)・僧ドットコム(毒吹き矢の使い手)・絵夢(回復役)・お雪(補助魔法の使い手)・空雅堂(情報操作系の魔法の使い手)・泰蔵(侍)、そして盛親(殿様)である。
 

唯樹:こ〜んなかんじで、どう?
 

 盛親チーム:唯樹絵夢お雪空雅堂・泰蔵

 椎名チーム:僧ドットコム・出水屋
 

絵夢:女の子独り占めじゃない(笑)。

空雅堂:(わたしは男でも女でもないんだけど……)

僧ドットコム:みとめないネ〜! やっぱこうね〜!
 

 盛親チーム:僧ドットコム絵夢お雪空雅堂・泰蔵

 椎名チーム:唯樹・出水屋
 

唯樹:イヤだ〜!

椎名:だが、殿の方に戦力を集中させるのは当然でしょう?

GM:影武者を逃がしたところで、何の得にもならないからね。

出水屋:それは分かっているが、自分が死ぬのは嫌だ。

僧ドットコム:じゃあじゃあ。
 

 盛親チーム:僧ドットコム絵夢お雪空雅堂

 椎名チーム:唯樹・出水屋・泰蔵
 

僧ドットコム:でどう?

唯樹:絶対イヤだ。それなら……
 

 盛親チーム:唯樹絵夢お雪空雅堂

 椎名チーム:僧ドットコム・出水屋・泰蔵
 

唯樹:──の方が前衛後衛のバランスはいいと思うよ?

僧ドットコム:でもそれだと女の子が……。

唯樹:こっちだって譲れない。女の子たちは僕が守らないと。

GM:見苦しい争いをしているなぁ……。

僧ドットコム&唯樹:じゃあ──
 

 盛親チーム:僧ドットコム唯樹絵夢お雪空雅堂

 椎名チーム:出水屋・泰蔵
 

僧ドットコム&唯樹:これでバッチリ!

GM:どこがだよ(笑)。それに泰蔵は殿と一緒だろ?

唯樹:じゃあ……こーんなかんじ、どう?
 

 盛親チーム:唯樹絵夢お雪・泰蔵

 椎名チーム:僧ドットコム・出水屋・空雅堂
 

僧ドットコム:しょーがないネ……。

泰蔵:「城が落ちた後しばらくは落ち武者狩りがあるでしょうから、殿のお姿は注目されます。少し日をおいてから落ち会うことにしましょう。淀川べり、一本杉の東に背の高さぐらいの葦が生い茂る河原があります。7日後、正午に──そこで」

一同:「分かった」
 

 一行は、二手に分かれた。