GURPS・EDO『れ・みぜらぶる』〜苦情篇〜(六)

GM:新宮の陣に連れていかれるよ。

出水屋:そっちか……。
 

 地図を描いて位置を説明するGM。
 

唯樹:城のどこらへん、ってぐらいは分かるよね?

GM:そのくらいは。──引っ立てられて、適当に作られた柵組の中に押し込められたと思いねえ。

武士:「盛親殿に使いを出す。真偽を確かめた後、お前達の処分を決める」

椎名:正座して、ぼぉーっとしていよう。

出水屋:食事ぐらい出ないものか。

空雅堂:なんてずうずうしい(笑)。

唯樹:非常食でも食べておくか。

出水屋:何でそんなものを持ってるいるのだ?

唯樹:ふつー、持ってるでしょ。

GM:武器とかは取り上げられてるけどね。

僧ドットコム:仮面と尺八は?

GM:それは大丈夫。

絵夢:てゆーか、こわがって誰も近づかないんじゃ……?

出水屋:手足は縛られていない、が――

椎名:脱走は無理だろう。大変なことになるぞ。──てことで、正座してぼぉ〜。

唯樹:暇だから、お雪さんでも口説いておこう。

GM:口説くならそれなりの判定しておいてね。

唯樹:(……がんばれ、僕)「ここ逃げられたら、メシでも食べにいこうよ」

お雪:「ん〜、どうしましょう」

絵夢:もう、こんなとこで発情しちゃって……。

GM:発情、って……。

絵夢:発情期と思春期を履き違えちゃ駄目よ?
 

 そうこうしているうちに、明け方となった。柵の入り口が開き、一行を捕らえた武士と……新宮行友本人が入ってきた。
 

出水屋:ほほう、これはこれは……。

行友:「城の外でうろちょろしとったというのはお主らのことか?」

椎名:「はあ」

お雪&絵夢:「そーでーす!」(手を振る)

GM:……アピールされてもな……。

行友:「あんなところで何をしておった?」

椎名:「あの……長曽我部家が危機と聞き、これは是非加勢をせねばと馳せ参じたワケで、その……」

出水屋:「この面子で加勢もあったもんじゃないが……」

空雅堂:(人形の口をパクパクさせて)『お経をあげる虚無僧と、慰安婦』

出水屋:「おいおい……」

椎名:「いや、でも、しかし……」

行友:「加勢……今更、か」

唯樹:実はこの娘たちは長曽我部の隠し子で(笑)。

お雪:そこには聞くも涙、語るも涙の物語が……。

出水屋:そういう嘘は、やめておけって。

行友:「分かった分かった。お前達が土佐守殿の手の者だということは信用するとしよう。……で、誰がそのことを証明してくれるのだ?」

唯樹&お雪:「これ」(と言って椎名を指差す)

GM:阿呆か。これが本物かどうか調べとるのに。

絵夢:「向こうに引き渡してくれれば分かります」

行友:「それはできん」

絵夢:なんで? ぶぅ……(ふくれる)。

行友:「まずはお前達が本物であるということが分かってから、だ。誰か長曽我部の近くの者にそういう知り合いとかはおらぬのか?」

椎名:心当たり、ある?

GM:椎名は早い段階で藤堂家に引き取られたから、今誰が殿の周りにいるのか分からない。

唯樹:……ホント、使えないヤツだね〜……。

椎名:うー……。しかも、土佐の者は結構東軍に引き取られているから、下手に名前を上げるとジ・エンドだ。(←江戸時代)

一同:うーん……。

行友:「……こちらから、心当たりがないか尋ねてやろう。……なんでお前らごときにここまでしてやらねばならんのだ……(苦笑)」

空雅堂:「性的魅力」が効いたかな?

椎名:「か、かたじけない……」

GM:しかし……長曽我部の助けにと言うワリに、なぜ誰がいるのかすら知らんのだ?

椎名:だって……だって……。

行友:「(ため息をついて)で、この中の誰の名を出せば、向こうに分かる?」

椎名:「拙者……かな。名は──椎名一盛」

行友:「椎名、か。……しばらく待て」

 しばらく待つと、再び行友が入ってきた。
 

行友:「よかったなぁ、お前達を知っているという者がおったぞ」

椎名:「マジ……?」(←くどいようだが江戸時代)

GM:泰蔵が、いかにも「私は西軍です」という顔をして、ニコニコしながら入ってくる。

唯樹:やっぱり、彼か……。

空雅堂:こちらはもっとニコニコしておこう。

泰蔵:「ここにおられましたか椎名殿。あの戦の後姿が見えぬのでよもやと思いましたが……お姿を見られて安心しました。お供の方も御無事で……」

GM:すごーくいやらしい演技をしてくる(笑)。

椎名:ではこちらも──「おお、泰蔵殿、まさか貴殿と再びこうしてあいまみえることができるとは……」

お雪:とりあえずもらい泣きしておきます。

唯樹:(小声で)「ここまで来られたの、僕たちのおかげだよね……」

絵夢:「ねー……」

椎名:熱い抱擁を……ってそんな習慣はないし……固い握手を……ってそんな習慣もないか……。

GM:何やってんだか……。

泰蔵:「行友殿には大変ご迷惑をおかけしました。間違いなくうちの者ですので、お引き取りします。後ほど盛親から何かしら礼をしますので」
 

 情けなくもNPCに助けられた一行は、泰蔵に連れられ城の中へ。
 

GM:廊下を歩いていると、外から雷のような音が聞こえてくる。

お雪:おへそ隠さなきゃ……。

GM:なんでそうなる……。──戦が始まったようだね。鉄砲と大砲の音だ。

出水屋:これからが、汚名返上のチャンスだな……。

GM:とりあえずどうする?

唯樹:ごはんを食べよう。

僧ドットコム:(突然)ボク故郷につまとむすこいるネ〜! きゃわいいネ〜!

お雪:いきなり何ですか。帰りたいなら早く帰ってください(笑)。

出水屋:盛親殿に会わないことには、どうしようもないと思うが。

絵夢:そうだね。

GM:では、盛親のところへ案内しよう。