GURPS・EDO『れ・みぜらぶる』〜苦情篇〜(参)

侍(椎名):「こちらが……(NPCの名前を忘れて)あー……っと……?」

僧ドットコム:アイカタの名前わすれてるネ……。

椎名:清信宗忠(きよのぶ むねただ)、だ」

GM:通称泰蔵

泰蔵:「同じく長曽我部家に仕える、清信泰蔵と申す」

唯樹:外見に似合わない、ゴツイ名前だね〜。

お雪:とりあえずフンドシ一枚になってください。

GM:原田のタイゾウじゃないから。

絵夢:「で、この人が依頼人なんですね?」

椎名:「もしかしたらちょこーっと大変かもしれないことを頼みたいかなぁ、なんて……」

唯樹:(さむいヤツ……)

椎名:「大阪冬の陣があったことは知ってるよね?」

絵夢:「はい」

GM:もう夏の陣も小競り合いは始まってるからね。

出水屋:堀はもう埋まってしまってるのか……。

GM:うん、東軍の兵が満ち満ちている。

椎名:「で、大阪で戦やっとーやん?」

出水屋&唯樹:軽いお侍さんだなぁ……。

椎名:「で、大阪城大変やん?」

お雪:……なんでそんなしゃべりかたなんですか……? 土佐出身なら──

僧ドットコム:──じゃけーん!

お雪:それは広島。

椎名:江戸住まいが長かったから(←関西弁をしゃべる理由になってない)。

GM:江戸に行く必要はこれっぽっちもなかったはずだが。

椎名:……やっぱり?(←分かってるなら言うな)

絵夢:「それで?」

椎名:「それで、大阪城にね、うちの殿様がいるのよ、長曽我部 盛親(ちょうそかべ もりちか)っていうんだけどね」

絵夢:チョーさんね……。

椎名:「で、まー、城が落ちるときに助けてほしいとよ」

絵夢:落ちるって確定してるの?

GM:それはもう、庶民の目から見ても明らかだ。まず間違いなく落ちるね。

唯樹:「どさくさにまぎれてお殿様救出してこいってことか……」

絵夢:「大阪城に忍び込んで、お殿様に話をつけて連れてくればいいのね?」

椎名:「そうそうそうそう」

絵夢:「そんなことしていいの?」

泰蔵:「いいですよ」

絵夢:いや、アンタの許しを得ても……(笑)。

僧ドットコム:つーか、ムリだとおもうネ。インポッシブルね。

GM:そう、ミッション──

一同:インポッシブル!

僧ドットコム:こまったネ〜! それだとボク依頼うけないといけないネ〜!

GM:報酬は……ひとり金五十枚でどうだ? 今のお金に換算してざっと二百五十〜三百万円。

絵夢:「報酬はまあいいんですけど……仮にも一国の主を豊臣側から連れてくるんだから……。殿様に逃げる意志はあるの?」

椎名:「あの人なら、討ち死にしかねん」

GM:長曽我部盛親は絶対討ち死にはしないと思うぞ。言ってなかったけど、あの人はひたすら生き延びよう生き延びようとした人間だ。歴史上の話をすると、この後捕まってさらされた時に、通りがかった島津の殿様に「自害せんのか?」と聞かれて「俺は絶対に生き延びてやる。この命と右手があれば、家康や秀忠をこの姿にできるかもしれんのだからな」とぬけぬけと言い放ったらしい。

椎名:それはそれでちょっとカッコイイかもしれん……。

GM:実際はそれがバレて死罪になったんだけどね(笑)。

お雪:ちょっと頭が悪かったんですね……。

絵夢:「あなたがたがちゃんと説得してくれるなら、お手伝いはしますよ」

GM:そのへんは大丈夫だろう。

僧ドットコム:「みんなボクの話きくネ〜!」

絵夢:「……なに?」

僧ドットコム:「まず変装するネ〜。それからノドに変声するキカイつけるネ〜」

唯樹:(半眼で)「……それで?」

僧ドットコム:「それからみんなに、どんなセンサーにもひっかからないけどみかたのいちはわかるセンサーを──」

林豪:「障子を閉めよ!」

一同:(爆笑)

椎名:「つーかあの生物(なまもの)なに?」

出水屋:「すみません、あんなのでも一応仲間なモノで……」

絵夢:「……依頼、お受けします」
 

 話は、作戦会議に移る。
 

出水屋:兵の募集とかはまだしてる?

GM:もうしてないだろう。

絵夢:兵は殿様を守るためにがんばっているのに、殿様は逃げようとしている……。世知辛い世の中ねー……。

GM:でも兵も隙をみて逃げるから。

椎名:それに今殿様が率いてる兵は土佐の人間とちゃうきに。

GM:それは嘘。半分は土佐の人間が趣味で集まってきている。

唯樹:さっきから嘘が多いね。……大丈夫なの、コイツ……。

椎名:う……。

GM:兵も嫌になったら逃げるだろうから、そのへんの心配はしなくていい。

出水屋:「んー……、絵夢さんや、ワタシら荒事は苦手なんだがなぁ……」

絵夢:「争いごとはうちのペットにまかせておけば安心です」

お雪:ついていくだけでボロ儲け(笑)。

出水屋:……本当にそうかもしれん……。

唯樹:カワイイからOKだよ〜。(←江戸時代)

GM:出水屋もカワイイ?

唯樹:そのへんは眼中にないから。絵夢とお雪さんとクウちゃんだけ。

空雅堂:クウちゃん……。

出水屋:実はワタシ、特徴に「美しい」ってあるんだが。

一同:えええッッ?!
 

 プレイヤーでキャラクターの外見を判断してはいけないという例。
 

椎名:大阪城まではどのくらいかかる?

GM:強行すれば一日で着く、かな。

唯樹:強行はしないよ、女の子がいるし。

絵夢:輿(こし)に乗っていこう。

僧ドットコム:(障子の向こうから)腰にのっていくかーい?

お雪:……さいてー……。

椎名:撃ってよいか……?(←火縄銃の使い手)

出水屋:ああ、待ってくだされ。あのような者でも役に立つこともあるかと……。

唯樹:トカゲのシッポ切りぐらいには使えるかな?

お雪:でもそろそろ捨て時かも……。

絵夢:「助けた後は、どちらへお連れすれば?」

林豪:「ここ(林豪の屋敷)まで連れてきてくれればよい。実は真の依頼人がおってな。女なのだが……」

唯樹:きらーん☆

GM:出てはこないよ(笑)。その女性がかわいそうだから、一緒に寺にでも預けようということになっている。

僧ドットコム:寺にあずけるぐらいなら、ボクにあずけな! ──腰にのってく?

出水屋:男もいるぞ……。

お雪:ドットコムさんってそういう人だったんですか……。

僧ドットコム:寺にあずけたあとはどうするネ? 再起はかりマスか?

GM:静かに隠居生活を送らせるつもりらしいよ。

唯樹:期限とかは、特にないよね?

GM:ないよ。でも今日明日にでも戦は本格化するかも。

一同:急ごう!

林豪:「──では、よろしく頼んだぞ。」