彩:あれ? 尋問は?
GM:したよ。でも所詮三太は下っ端。
桂川:つまりたいした情報は得られなかったのね。
GM:そういうこと。で? 今日一日どうする?
彩:どうする、って言われても……。
レモン:手がかりがないんじゃ、ねぇ……。
桂川:しばらくゴロゴロしとこうかな。
大内:では俺は賭場に……。
GM:また行くのか。
桂川:でも賭場って朝からやってるの?
レモン:やってないでしょう。
トン:しかし賭場に行くというのも悪くないかもしれない。
彩:確かに。何かあるとしたら、今のところそこしかないよね。
ヤン:じゃ、賭場が開くの待とうか。
桂川:散歩にでも出てよう。夕方には開くよね?
GM:そだね。で、めんどくさいから夕方にしてしまおう。
桂川:(笑)
GM:はい、時は流れて夕方です(笑)。
彩:じゃ、参ろうか。
レモン:関取もついて来る?
旭海:うむ。
大内:何言ってやがる。テメーは今日もマキ割り。
桂川:がんばってー!(笑顔で手を振る)
旭海:うそぉ!?
ヤン:(ぼそっと)マキ割りメッセ……。
レモン:……何か言った?
ヤン:んーん。
GM:(旭海は今回も留守番か……)では、力士を置いて、残りはゾロゾロと……。
桂川:みんなで賭場にいくのも不自然じゃない?
トン:じゃあさりげなく外にいよう。
ヤン:同じくウロウロしてる。
大内:俺は入るぞ。
桂川:ついて行こっと。
GM:OK、この二人で入るんだね。
桂川:うん。
あんちゃん:「さぁ、張った張った!」
大内:さぁて、まずは銀十枚を……。
GM:まだ賭けるのか。
大内:おう。藩の金だし(笑)。
客A:「丁だっ!」
客B:「丁!!」
大内:(買った賭け札を揃えながら)お前にはインチキ見破ってもらわなきゃならんからな。
桂川:まかしといて! ……技能なし値だけど。
客C:「半!」
客D:「丁に」
あんちゃん:「半方ないか? 半方」
大内:「では、半!」
姐御:「……入ります」
賭けが始まった。大内はなかなか勝てないでいる。で、彼が立て続けに三回ほど負けたところで……
桂川:(コロコロ)「あっ、今の! おかしいよ、絶対!!」
GM:桂川のその言葉に、突如場の雰囲気が険悪になる。
胴元:「おいねーちゃん、つまんねぇ因縁つけんのはやめてくれねぇかい? あぁん?」
桂川:「因縁って……。今のおかしかったじゃないですかぁ」
胴元:「はっはっは、言ってくれるじゃねぇかお嬢さん。証拠はあるのかい? え? 証拠は」
桂川:「そんなぁ……」(←すっかり弱気)
胴元:「出てってくんな。胸糞悪い。おい! 誰かこのお嬢さんをつまみ出せ!!」
桂川:ねぇGM、ここで判定成功したら証拠見つけたことにしていい?
GM:いいよ。成功度にもよるけどね。
桂川:「どこを見たらいい?」
大内:「そうだなぁ……(しばし考え中)……サイコロだな。とりあえずサイコロ見せてくんな」
胴元:(ちょっと動揺)「なっ……何ぃ?」
大内:「そのサイコロを見せろ、と言っている」
胴元:「何言ってやがる! そんなことが……」
桂川:「あれぇ? 何か見せられない理由でもあるんですか?」(←いきなり強気)
胴元:「うっ……そんなものは無ぇ」
桂川:「じゃ、見せてくれますよね?」
胴元:「いーだろう。ほらよ」
GM:<賭博>で判定してね。大内は通い慣れてるだろうからプラス2の修正で。
桂川:(コロコロ)……1成功。
GM:いちぃ? 1じゃ、なぁ。……やっぱ怪しいなぁ、くらいしか……。
大内:(コロコロ――失敗)俺にはよく分からん。外の連中呼んでくるか。
桂川:そだね。行ってくる。
大内:というわけで……。
GM:了解。
彩:どたどたどた。
ヤン:「なになに?」
桂川:「これ、変なんだけど」
彩:「どれどれ?」
ドヤドヤと上がり込んだ彩、ヤン、トンが順にサイコロを調べてみるが――
彩:「だめだ、全然分かんない」
ヤン:「博打なんてしないからなぁ」
胴元:「ほーら見てみろ。この落とし前、どうつけてくれるんでぇ?」
トン:もう一人いたよね?
彩:あっ、レモねぇ。
桂川:一緒に上がってきたよね?
GM:NPCに頼るなよ……。
大内:しょうがないじゃん、こうなったらさ。
レモン:(部屋に入ってきて)「何?」
桂川:(サイコロを渡して)「これなんだけど……」
レモン:(コロコロ)「こういうのはね、こうすると……」(サイコロを奥歯で噛み割る)
トン:すごい力だな。
GM:加工されたものだから、多分桂川でも割れるよ。
ヤン:「何か分かった?」
レモン:「ほら」
GM:といって差し出されたサイコロ。見ると鉛が……。
彩:出たなぁ(笑)。
ヤン:王道だ(笑)。
桂川:「これは一体どういうことです?」
GM:周りも騒然となるよ。
客C:「騙してやがったのか!」
客A:「金返せぇ!!」
彩:あー、やっぱりそうなっちゃうか……。
大内:「胴元を押さえろ!」
ヤン:「どこにいる!?」
GM:騒ぎに乗じて逃げていくのがちらっと見える。
大内:「追う!!」
胴元・仁兵衛は暗い夜道を走った。あんな決定的な証拠を突きつけられたのではかなわない。
それにあの人数ではやりあったところで結果は目に見えている。こいつぁ逃げるが勝ちだ。
どれほど走っただろうか。仁兵衛は足音を耳にしてふと立ち止まった。
暗闇なのでよくわからないが、誰かが追って来ているようだ。
胴元:「ちっ」
舌打ちした途端だ。いきなり足元をすくわれ、前のめりに地面に倒れこんだ。
胴元:「てめぇ、何しやがんでぇ!!」
見上げた先の男が口を開く。
大内:「……たとえ仏が見放そうとも………」(←トン:君が見放されてるんだよね)
尻餅をつく形になった仁兵衛の足元に錫杖が突き立てられる。
大内:「この私は、決してお前を許さない。………南無阿弥陀仏、ナムアミダブツ………」
胴元:(立ち上がりながら)「サシで勝負しようってのかい」
大内:「その通り。得物を取るがよい」
胴元:「しゃらくせぇ、食らえ!!」
仁兵衛はドスを腰だめにしていきなり突き立てた。
突き刺した感覚は、確かに、あった。
しかし……
大内:クリティカル。杓場でフルスイング。
胴元:「ぐへっ!」
あっという間に、二間も向こうに吹っ飛ばされていた。火消し桶が派手な音を立てて崩れ落ちる。
仁兵衛はあたふたと立ち上がると、一目散に夜の町並みへと走り去って行った。