GURPS・EDO―薩摩編―(八)

―其の四『桜岳屋に災いの降り来たること』―

 大内らが飲みに言って四半刻(三十分)あまりが経った頃――
 

GM:宿の方。玄関先が騒がしくなる。何かをひっくり返すような、そんな音が聞こえて来るよ。

旭海:それは……行くでゴワス。相撲取りダッシュで(笑)。

彩:家、壊れるんじゃない?

桂川:床が抜けてると思う(笑)。

GM:さて玄関だが……うーん、そうだなぁ。まず、チンピラが二人。お馴染みの二人がいる。

一同:おぉーう(驚)。

トン:もう復活したのか。

GM:いいんだよ、時代劇なんだし。

ヤン:そうかなぁ……。

GM:………………。あと、ヤクザの親分風のが一人。

旭海:ほーう。

GM:で、猛然と突っ込んでくる相撲取りを見た銀次はいきなりの逃げ腰(笑)。

桂川:周りはどんな感じ?

GM:ひどいね。土間の腰掛けの類はひっくり返ってるし、壁とか障子にもところどころ穴が開いてるし。

トン:ほう。

GM:で、親分が――

GM/親分:「おうおうおうおう、この三百両の借金、どぉうなさるおつもりで?」

大内:三百両って言ったら……銀十枚で一両にしたから……。

GM:三千枚。

桂川(金持ち):余裕で払えるんですけど。

彩:だからって払うわけにもいかないでしょ。

GM/ドラ息子:「し……しかし……借りたのはたった三十両……」

親分:「利子、ってのを知らねぇのかい? 浮世を知らねぇ男だねぇ、あんたも」

桂川:分かりやすい奴らだねー、こいつら。

親分:「まさか、返せねぇとか抜かさねぇよなぁ、ああん? ……そぉうかい、それじゃあ……」

GM:と言ってお花さんの手をつかんで強引に引っ張って行こうとするよ。

彩/なぜか母親:「娘だけは、娘だけはおやめ下さい!」

ヤン/なぜか親分:「うるせぇ!!」(バーンと足蹴にする)

彩/なぜか母親:「あれぇーーーーー」

彩/そして父親:「あぁ、お花ぁーーーー!」

桂川/なぜかお花:「おとー! おっかー!!」

トン:自業自得だね、と。

旭海:そこでこの相撲取りがその手をバシッと払うわけですな。

大内:ほう、止めるんだ。

旭海:当然でゴワス。ここで行かせたら時代劇でなくなるでしょうに。

GM:いや、それ以前に君らの人間性の問題が……。

トン:「どれ、その証文をよく見せてください」

GM:証文の書式とかは問題ない。まぁ賭場なんかでは大体酔って――

トン:一瞬にして燃やしてしまおう(呪文を唱え出す)。

親分:「待て待て待てぇーー!!」

トン:「駄目か(笑)」

親分:「焦げてるし………。おうテメーら邪魔立てするなら容赦しねーぜ!」

旭海:「ほー、面白いでゴワスな」

銀次:「おっ……親分、ヤバイですぜ、こいつら」

トン:「とりあえず、表に出てもらえますかな」

銀次:「おっ……親分! あっしは失礼しやすぜ!」

親分:「なんだ、情けない。好きにしろい!」

銀次:「へい!!」(すたこらさっさ)

彩:逃げたか(笑)。

旭海:「さぁ、かかってくるでゴワス!」
 

 戦闘である。

 三太のドスが旭海を襲う。

 しかし意外と身軽な旭海、ひらりとかわす肩透かし、よろけた三太にぶちかまし。

 たまらず三太、大きく吹っ飛んで尻餅をつく。
 

桂川:三太、恐怖再び?

GM:いやいやいや、三太は前回大内、ヤン、彩にやられてる。

ヤン:その三人がいないから今回は安心だ、と。

GM:そ。

桂川:わ……わかりやすい……。
 

 倒れた三太に飛びつく旭海。その様まさに肉布団。

 その隙に和尚が瞬間移動。お花さんの手を引いて逃げようとしていた親分の足が止まる。

 不意に刀に手をかけた瞬間、一瞬手の力がゆるんでお花さんは脱出に成功する。

 一方の三太、必死でもがくが逃げられない。旭海、さらに圧迫地獄の肉布団。そして……
 

GM:(コロコロ)……ファンブルだ。かくっ(落ちた)。

旭海:よし。(立ち上がって)さて……

親分:(目が合って)「うっ」

彩:さらに背後では――

トン:「ブツブツブツブツ……」(何やら呪文の詠唱中)

桂川:うっわー(笑)。

彩:顔も怖いしねぇ、この二人。

旭海:駆け寄ってみようかな。

GM:怖っ。

親分:(後ずさりしつつ)「こ……今回は見逃してやる!」

ヤン:で?

親分:「覚えてろぉう!!!」(すたこらさっさ)

ヤン:あっ、逃げた。

旭海:三太は?

GM:もち、見殺し。

トン:どうしようか? これ。

旭海:とりあえず縛り上げて……。

彩:どうするの?

桂川:とっとく。イザというときの証人に。

旭海:なるほど、ではそういうことで。

桂川:そこらへんに転がしとこうよ。

GM:ひでー扱いだ。

トン:ところで、何の証人なんだい?

一同:……何の証人だろう?(笑)

  ――さて、飲み屋の方。聞き込みを終えた桂川とレモンが、大内らのいる店にやって来た。
 

桂川:(席に座りながら)「どっかで喧嘩があったらしいね」

レモン:「物騒ねぇ、ほんとに」

彩:「聞いた聞いた。二百貫を超える巨漢が店をつぶしたらしいじゃない」

大内:「さっき俺が聞いた話じゃ、身の丈九尺を超える異人が……」

ヤン:「あやかしの術で店を木っ端微塵にしたってさ」

レモン:「………まさか、奴らじゃ……ないよねぇ」

彩:「まさか、ねぇ」

桂川:「いくら太ってても二百貫はないしねぇ、力士」

ヤン:「ねぇ」

GM/主人:「あの……そろそろ店閉めますんで、よろしかったら……」

彩:「じゃ、引き上げよっか」

大内:「やだ」(即答)

GM:………………。

  ――再び宿の方。
 

GM:悪いけど片付け手伝ってあげてね。

旭海:なーに、かまわんでゴワス。仕事のうちでゴワスから。

GM:で、腰抜かしてへたりこんでる兄ちゃんがいて、娘と抱き合って喜んでる両親がいる、と。

彩:めでたしめでたし!(←どこがだよ)

大内:俺らもそろそろ戻って来るかな。

彩:「ただいまー、……って」

桂川:「なにがあったの? 一体」

旭海:「いやー、実はかくかくしかじかで……」

ヤン:「なるほど、んじゃ、アタシらも手伝おうか」

彩:「あー、そこをこうすると風水的によくないから……」

レモン:さすが本職(笑)。

GM:判定しといてね。間違ってたらこの店傾くから。

大内:「ひょっとしてうわさの主はおめーさんたちだったのかい?」

旭海:「何のことでゴワス?」

大内:「いや、二百貫を越えるデ○が……」

レモン:「言ってたねー。店踏み潰したって?」

旭海:「どんな人間でゴワスか」

桂川:「あやかしの術であたりは阿鼻叫喚の地獄絵図だったって」

トン:「そうか、よかったよかった」

ヤン:「……何が?」

トン:「怪しい奴が他にいるんで、こっちが怪しまれずに済む」

桂川:「あんたたちだってば(笑)」

レモン:「これ以上こんなのがいたらかなわないって(笑)」

桂川:まー何にせよ帰って来たよ〜。

旭海:お帰りでゴワス。

桂川:そして酒飲んで寝るゼ(笑)。

ヤン:何か毎日飲んでばっかで捜査が進まないなー(笑)。

桂川:気にしない気にしない。

大内:じゃあ寝る前に兄ちゃんの言い分も聞くかな。

GM/息子:「ありゃあ絶対イカサマだ。あんな負け方するはずは……」

彩:だってさ。

大内:なるほど、それで……(笑)。

レモン:気づけよ(笑)。

桂川:でも事件の本筋とはあんまり関係ないよねぇ……。

大内:まぁ、どこにでもあるもんだしな、そんなものは。

ヤン:つーかさ、知っててあんなに負けたの?

トン:さあ、ここで我々の使命を振り返ってみよう。

彩:人さらいの捜査。

トン:そう。こんな自業自得に付き合う必要はないのだよ。

ヤン:こらこらこら(笑)。

トン:ん?

レモン:ところで……ひとつ気になってんだけど。

旭海:なんでゴワしょう。

レモン:(三太を指差して)あの人は?

旭海:ああ、三太。

トン:すっかり忘れていたな。

GM:………………。

桂川:よし、早速尋問尋問。

旭海:まずは気付けからだな。……ふんっ!

三太:(気がついて)「はっ」

大内:じゃあ、三太の正面に座っていいかい?

GM:どうぞ。

大内:トクトクトク……と酒を注いでやって、俺も飲む。

レモン:それから?

大内:で……誰かが尋問する。

ヤン:お前は飲むだけかー!(笑)